概要情報
事件名 |
内宮運輸機工 他1社 |
事件番号 |
東京地労委 昭和53年(不)第66号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合東部地域支部 |
申立人 |
全日本運輸一般労働組合東京地方本部 |
被申立人 |
内宮運輸機工 株式会社 |
被申立人 |
東輝自工 株式会社 |
命令年月日 |
昭和57年 5月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
専務取締役が組合を中傷誹謗したこと、総務課係長の職にある分会書記長を営業部に配転し、それを拒否するや安全課に配転を命じたうえ、これらの配転を拒否したことをもって解雇したこと、残業時間数について分会員と非分会員との間に格差を生ぜしめたことが争われた事件で、誹謗中傷の禁止、原職若しくは原職相当職への復帰及びバック・ペイを含む解雇がなかったものとしての取扱い並びにポスト・ノーティスを命じ、一部事業場等における残業差別等に関する申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人内宮運輸機工株式会社および東輝自工株式会社は、会社役員らをして「運輸一般は会社をつぶす組合である」、などの発言をさせ、申立人組合を誹謗中傷してはならない。 2 被申立人内宮運輸機工株式会社は、X1に対して、次の措置を含め昭和53年8月16日付解雇がなかったと同様の状態を回復させなければならない。 (1) 原職または原職相当職に復帰させること。 (2) 解雇の日の翌日から原職または原職相当職に復帰するまでの間に同人が受けるはずであった賃金相当額と仮処分決定に基づき既に支払済の金員との差額を支払うこと。 3 被申立人内宮運輸機工株式会社および東輝自工株式会社は、それぞれ本命令受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、下記のとおり明瞭に墨書して、自社玄関正面の従業員の見易い場所に、10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 全日本運輸一般労働組合 東京地方本部 執行委員長 X2 殿 全日本運輸一般労働組合 東部地域支部 執行委員長 X3 殿 内宮運輸機工株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合の組合員X1氏を解雇したこと、Y2元専務らが貴組合を誹謗中傷する発言をしたことならびに残業時間について分会員を差別したことは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。X1氏をすみやかに復職させるとともに、今後このような行為を繰り返さないよう留意いたします。 (注、年月日は、文書を掲示した日を記載すること。) 記 昭和 年 月 日 全日本運輸一般労働組合 東京地方本部 執行委員長 X2 殿 全日本運輸一般労働組合 東部地域支部 執行委員長 X3 殿 東輝自工株式会社 代表取締役 Y3 Y2元代表取締役らが貴組合を誹謗中傷する発言をしたことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意いたします。 (注、年月日は、文書を提示した日を記載すること。) 4 被申立人らは、前記第2、3項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 5 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1102 業務命令違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
総務課係長で分会書記長であるX1を営業部門に配転し、これを拒否するや安全課に配転を命じ、さらにこれらの配転を拒否したことを理由に解雇したことが、配転に関する団交が不十分であること、組合がX1の配転を全く拒否していたとは認められないにもかかわらず性急に解雇していること等から、分会結成以来の同人の活発な活動を嫌ってなした不当労働行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
朝礼において、専務取締役が、組合の上部団体は会社をつぶす組合である旨発言したことが、組合に対する支配介入であり、不当労働行為であるとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
バックペイについて、得べかりし賃金から会社が仮処分決定に基づき既に支払った金員を差し引くことが相当であるとされた例。
1300 転勤・配転
書記長に対する総務課係長から営業部への第1次配転は、同人に対する安全課への第2次配転の際撤回されており、判断の必要はないものの、総務課係長の職は人事労務の機密に関するものを含み、書記長の職責と相矛盾するところから、少なくとも総務課以外の部所に配転する必要があったものと認められ、また安全課の業務も書記長としての活動にある程度の影響が予想されるものの不当労働行為としての不利益とまでは認められないとされた例。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
書記長に対する総務課係長から営業部への第1次配転は、同人に対する安全課への第2次配転の際撤回されており、判断の必要はないものの、総務課係長の職は人事労務の機密に関するものを含み、書記長の職責と相矛盾するところから、少なくとも総務課以外の部所に配転する必要があったものと認められ、また安全課の業務も書記長としての活動にある程度の影響が予想されるものの不当労働行為としての不利益とまでは認められないことからすれば、同人の配転拒否を理由とする解雇の救済として復帰すべき原職は、第2次の配転先である安全課とすることが相当であるとされた例。
2901 組合無視
会社の「重量班」における残業時間数については、分会員と非分会員との間に格差が生じており、それは、分会員を差別する作業配置の結果であり、不当労働行為であると認められるが、その他の部門におけるものは、差別扱いとまで認めうる疎明がないこと等から、不当労働行為ではないとされた例。
4408 バックペイが認められなかった例
残業時間数に係る不当労働行為の救済方法について、ポスト・ノーティスで足りるとして残業差別分のバックペイが斥けられた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集71集374頁 |
評釈等情報 |
 
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