概要情報
事件名 |
栄徳運輸 |
事件番号 |
富山地労委 昭和56年(不)第6号
|
申立人 |
全日本運輸産業労働組合富山県連合会富山合同労働組合 |
被申立人 |
栄徳運輸 株式会社 |
命令年月日 |
昭和57年 5月18日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
分会結成直後における社長の分会役員に対する組合脱退、分会解散の慫慂、組合は存在しなくなったことを理由とする、団体交渉の拒否及び届出住所に居住していないことを理由とする分会副委員長の解雇が争われた事件で、組合脱退慫慂などによる支配介入の禁止、団交応諾、解雇の取消し及び原職復帰、誓約書の手交及びポスト・ノーティスを命じ、バック・ペイ及び陳謝文の新聞紙上への掲載等の申立については棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人会社は、申立人組合の組合員に対して申立人組合からの脱退を慫慂するなどして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人会社は、申立人組合栄徳運輸分会から昭和56年10月26日付けで申入れのあった事項について、誠意をもって申立人組合との団体交渉に応じなければならない。 3 被申立人会社は、申立人組合の組合員X1に対する昭和56年11月30日付けの解雇を取り消し、原職に復帰させなければならない。 4 被申立人会社は、申立人組合に対し、本命令受領後7日以内に、下記の誓約文を手交しなければならない。 記 誓 約 文 当社が行った下記の行為は、富山県地方労働委員会で不当労働行為と認定されました。今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 記 1.貴組合の組合員に対して、貴組合からの脱退を慫慂するなどしたこと。 2.貴組合との団体交渉を拒否したこと。 3.貴組合の組合員X1を、昭和56年11月30日付けで解雇したこと。 昭和 年 月 日 全日本運輸産業労働組合富山県連合会富山合同労働組合 執行委員長 X2 殿 全日本運輸産業労働組合富山県連合会富山合同労働組合 栄徳運輸分会 執行委員長 X3 殿 栄徳運輸株式会社 代表取締役社長 Y1 5 被申立人会社は、本命令受領後7日以内に、下記の誓約文を縦1m、横1.5mの白紙に墨書し、被申立人会社事務所正面入口の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 誓 約 文 当社が、貴組合の組合員に対して貴組合からの脱退を慫慂するなどしたこと、貴組合との団体交渉を拒否したこと及び貴組合の組合員X1を解雇したことは、富山県地方労働委員会で不当労働行為と認定されました。今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 昭和 年 月 日 全日本運輸産業労働組合富山県連合会富山合同労働組合 執行委員長 X2 殿 全日本運輸産業労働組合富山県連合会富山合同労働組合 栄徳運輸分会 執行委員長 X3 殿 栄徳運輸株式会社 代表取締役社長 Y1 6 申立人組合のその余の請求は、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0700 職場規律違反
3607 労働者の行為と不利益取扱の程度との関連
会社に届け出た住所に居住していないことを理由とした分会副委員長の解雇が、苛酷に過ぎ、組合役員である同人を職場より排除せんとした不当労働行為であるとされた例。
2114 組合の不存在
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
組合を否認して団交を拒否したことが不当労働行為であり、その後審問の後半頃から数回にわたる団交が行われていても、誠意ある交渉を行ったとは認められない以上、いまだ被救済利益があるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長が分会執行委員長らに対し組合からの脱退、分会の解散等を慫慂したことが組合に対する支配介入であるとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
解雇の救済に当たり、仮処分決定に基づき、解雇期間中の賃金相当額が既に支払われているとして、バック・ペイを命ずる必要がないとされた例。
4610 P.Nに併せて文書手交を命じた例
4614 文書手交のみを命じた例
陳謝文の新聞紙上への掲載を求める申立てに対し、誓約書の手交、ポスト・ノーティスで足りるとして棄却した例。
|
業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集71集363頁 |
評釈等情報 |
 
|