労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  理研産業 
事件番号  広島地労委 昭和55年(不)第6号 
申立人  広島県西部労働組合理研産業支部 
被申立人  理研産業 株式会社 
命令年月日  昭和57年 5月12日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)時間外労働の指示方法をめぐり、勤務を離れて上司に抗議したことに対し、支部副委員長ら2名を2日間の出勤停止処分に、支部組合員7名を譴責処分に付するとともに勤務離脱した1時間20分相当額を同人らの賃金から控除したこと、(2)支部書記長の上司に対する言動に対し4日間の出勤停止処分に付したこと、(3)支部による本社社屋における2度にわたるビラ配布・貼付に対し警告書を発したこと、(4)春闘時の本社社屋へのビラ貼付に対し支部執行委員長ら3名を2度にわたり譴責処分に付したこと、(5)賃金の銀行振込制の実施にあたり、支部組合員に個人的に協力を求めたことなどが争われた事件で、(1)支部副委員長ら2名に対する出勤停止処分及び支部組合員7名に対する譴責処分がなかったものとしての取扱い及び同人らの賃金から控除した1時間20分相当額の金員の支払い、(2)支部書記長の4日間の出勤停止処分がなかったものとしての取扱い並びに、(3)ビラ配布・貼付についての警告書の撤回を命じ、執行委員長ら3名の譴責処分、銀行振込み問題及びポスト・ノーティスについては棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人は、昭和55年2月25日付けで行ったX1及びX2に対する2日間の出勤停止処分並びにX3、X4、X5、X6、X7、X8及びX9に対する譴責処分がなかったものとして取り扱わなければならない。
2 被申立人は、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8及びX9に対し、昭和55年2月25日の賃金支給に当たって同9人の各賃金から控除した1時間20分相当額の金員を各人に支払わなければならない。
3 被申立人は、昭和55年4月16日付けで行ったX2に対する4日間の出勤停止処分がなかったものとして取り扱わなければならない。
4 被申立人は、昭和55年2月29日付け及び同年4月9日付けで行った申立人に対する警告を撤回しなければならない。
5 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1400 制裁処分
賃金カットに対する抗議等の際に行った支部書記長の上司に対する言動が職場秩序違反であるとして、同人を4日間の出勤停止処分に付したことが、同人にも慎むべきものがあるものの、上司の対応も穏当でない点があり、当時、会社のやり方には組合員の不信感をいだかせる事情があったこと等からみて、不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
時間外労働の指示の方式をめぐり、1時間20分にわたり勤務を離れて上司に対し抗議した支部副委員長ら9名に対し、正当な理由なく勤務を離脱したとして同副委員長ら2名を2日間の出勤停止処分に、7名を譴責処分に付したうえ、9名の賃金から1時間20分相当額を控除したことについて、やりとりの内容は時間外労働に係る業務上の話合いの域を出たものとはいえないことなどからみて、不利益取扱い及び支配介入に当たるとされた例。

3020 組合活動への制約
3020 組合活動への制約
支部の2度にわたる本社社屋におけるビラ配布、ビラ貼りに対し警告書を発したことが、ビラ配布は就業時間外に出退勤者の通る場所でなされ、しかも業務上の支障があったとは認められず、また、3枚のビラ貼りもその目的・態様などから企業秩序を乱したとは認められないことから、不当労働行為に当たるとされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
春闘時の支部による本社社屋へのたび重なるビラ貼り(40~60枚)に対し、支部執行委員長ら3名を2度にわたり譴責処分に付したことについて、本社社屋の美観維持という業務上の必要のうえから行われたやむを得ないものであり、処分が再度の警告のうえでなされ、それも譴責処分にとどめていること等からみて不当労働行為とはいえないとされた例。

3106 その他の行為
賃金の銀行振込制の実施に当たり、会社が支部組合員に個人的に協力を求めたことについて、個人あての協力要請が支部組合員のみに行ったものでなく、その内容も強制によるものとは認められないことから不当労働行為には当たらないとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集71集357頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和58年2月1日 1141号(34巻4号) 18頁 

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