概要情報
事件名 |
東京海上火災保険 |
事件番号 |
東京地労委 昭和49年(不)第30号
東京地労委 昭和49年(不)第32号
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申立人 |
全日本損害保険労働組合 |
申立人 |
全日本損害保険労働組合東京海上支部 |
被申立人 |
東京海上火災保険 株式会社 |
命令年月日 |
昭和57年 1月12日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合の組合員115名に対し昭和48年度の昇給・昇格を差別したことが争われた事件で、106名についての昇給・昇格の是正及び差額の支給(退職した2名については退職金の是正による差額の支給を含む)並びに昇給・昇格差別に関する文書手交を命じ、組合員2名については是正を要しないとして申立てを棄却し、最終審問日に救済申立対象者として追加された7名については申立てを却下した。 |
命令主文 |
1 被申立人東京海上火災保険株式会社は、次の措置を講じなければならない。 (1) 申立人全日本損害保険労働組合東京海上支部所属の男子組合員のうち、救済申立対象者表(省略)に記載されたX1ら41名(整理番号7、23、42を除く1から44までの者)につき、昭和48年4月1日付の各等級・ランクを次のとおり是正すること。 ア 生年コード43、42(年齢29歳、30歳)の者を、1ランク昇級・昇格させること。 イ 整理番号12、14の者を除く生年コード41から18まで(年齢31歳から54歳まで)の者を、2ランク昇級・昇格させること。 ウ X2〔整理番号12〕およびX3〔同14〕を1ランク昇級・昇格させること。 (2) 同女子組合員X4ら65名(整理番号59、68、72、 108、 109の者を除く45から 114までの者)につき、昭和48年4月1日付の各等級・ランクを1ランク昇級・昇格させること。 2 被申立人会社は、前項(1)および(2)の各組合員に対し、同項の昇級・昇格にともない支給されるはずであった諸給与相当分(職能給のほか、是正した格付に対応する号給、付加給、臨時給与などを含む)と既に支給された諸給与との差額を支払わなければならない。 3 被申立人会社は、X5〔整理番号19〕およびX6〔同44〕に対し、第1項の是正にともない支給されるはずであった退職金相当額と既に支給された退職金との差額を支払わなければならない。 4 被申立人会社は、本命令受領の日から1週間以内に下記文書を申立人両組合に交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 全日本損害保険労働組合 中央執行委員長 X7殿 全日本損害保険労働組合東京海上支部 執行委員長 X8殿 東京海上火災保険株式会社 代表取締役社長 Y1 当社が、貴組合所属の組合員に対し昇級・昇格について差別したことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後かかることをくり返さないよう留意します。 (注、年月日は、交付した日を記載すること。) 5 被申立人会社は、前記各項を履行したときは、すみやかに当委員会に報告しなければならない。 6 X9〔整理番号59〕およびX10〔同72〕に関する申立てを棄却する。 7 X11〔整理番号7〕、X12〔同23〕、X13〔同42〕、X14〔同68〕、X15〔同 108〕、X16〔同 109〕およびX17〔同 115〕に関する申立てを却下する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和48年度の支部組合員の昇級・昇格率が全社平均と同じであったとしても、44年以降の等級・ランク付けによる格差が是正されないで存在している以上、不当労働行為を構成するとされた例。
4419 現存格差を一挙に是正した例
昇給・昇格差別是正として、他の職員とくらべおおむね1ランクないし2ランク低位に格付けされているとして、30歳以下の男子及び女子全員については1ランクの是正を、31歳以上の男子については2ランクの是正を命じた例。
5110 申立人の追加
最終審問日に救済申立対象者として追加した7名の支部組合員については、審問を行っておらず審査の対象とすることは適当でないとして却下した例。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集71集69頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 昭和57年6月10日 1119号(33巻16号) 9頁 
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