概要情報
事件名 |
海辺組 |
事件番号 |
和歌山地労委 昭和54年(不)第2号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合紀南合同支部 |
申立人 |
全日本運輸一般労働組合海辺組分会 |
申立人 |
全日本運輸一般労働組合和歌山地方本部 |
被申立人 |
株式会社 海辺組 |
命令年月日 |
昭和56年12月21日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
分会長を業務上の指示命令に従わなかったこと等を理由に解雇したこと、書記長を現場作業に配転し給与を月給制から日給月給制に切り換えたこと及び団交席上での会社役員の言動等が争われた事件で、分会長の原職復帰、及びバック・ペイ、書記長の日給月給制を取り消し、配転前の状態に復すこと、分会員らに不利益扱いを示唆すること等による支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、謝罪文の手交及び新聞掲載については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、X1に対する昭和53年8月29日付解雇を取り消し、原職に復帰させるとともに、解雇後原職に復帰するまでの間に同人が受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。(ただし、同人がすでに受領した 138,980円を差引く。) 2 被申立人は、X2に対して昭和54年4月10日申し渡しの日給月給制を取り消し、配置転換前の状態に復さなければならない。 3 被申立人は、労働組合を軽視したり分会員らに嫌がらせを行ったり、また、職制などをして分会への参加を理由として不利益扱いの可能性を告げるなどさせて、労働組合の運営を支配し、これに介入してはならない。 4 被申立人は、下記文章を縦1m×横2mの白色木板に楷書で鮮明に墨書し、本命令の交付の日から7日以内に、被申立人の本社事務所玄関の従業員の見やすい場所に10日間引き続き掲示しなければならない。 記 全日本運輸一般労働組合和歌山地方本部 執行委員長 X3殿 全日本運輸一般労働組合紀南合同支部 執行委員長 X4殿 全日本運輸一般労働組合紀南合同支部海辺組分会 分 会 長 X1殿 株式会社 海辺組 代表取締役 Y1 今般当社は、当社が労働組合に対する認識不足から貴組合に対し、X1氏を解雇し、X2氏を配置転換し、分会員らに嫌がらせなどを行い、その他不利益扱いを示唆した行為は、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為と認めます。今後このような行為は一切致しません。 昭和 年 月 日 5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0700 職場規律違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
業務上の指示命令に従わなかったこと等を理由とする分会長の解雇が、分会結成の中心的役割をしている同人を排除して、組合の弱体化を企図してなされた不当労働行為であるとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会書記長への就任事実が明白になった翌日に、同人を試験係から現場作業に配転し、かつ、同人の給与を月給制から日給月給制へ切り換えたことが、組合の弱体化を企図した不当労働行為であるとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
団交の席上などにおける常務の言動が不利益を示唆する内容であり、支配介入とされた例。
4408 バックペイが認められなかった例
解雇に係るバック・ペイを命じるに際し、既に受領した解雇予告手当分を差し引き支払いを命ずるのが相当とされた例。
4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
解雇に関する申立てでバック・ペイを求めていないが、解雇が不当労働行為であって原職復帰を命じる以上バック・ペイを命じることは当然必要であるとされた例。
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
謝罪文の掲示、手交及び新聞掲載申立てについて、ポスト・ノーティスで足りるとされた例。
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業種・規模 |
建設業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集70集615頁 |
評釈等情報 |
 
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