労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  朝日急配 
事件番号  愛知地労委 昭和53年(不)第5号 
申立人  全日本運輸一般労働組合朝日急配支部 
被申立人  朝日急配 株式会社 
命令年月日  昭和56年11月19日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  下級職制による別労組結成、社長ら会社役員の言動、文書掲示、事務職の組合員に対する職務替えと退職強制、運転手である組合員らに対する担当替えによる賃金減収、増額すべき手当の据置き、配車差別、不誠意団交、新入社員に対する営業課長による別労組への加入勧誘等が争われた事件で、支部運営に対する支配介入禁止、チャーター手当の差額分の支払い及び文書手交を命じ、会社職制による別労組結成、組合員の退職、担当業務替えに伴う賃金の減少、配車差別、別労組への加入勧誘については申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人朝日急配株式会社は、同会社の従業員に対して、申立人全日本運輸一般労働組合 朝日急配支部を避ける必要があると呼びかけたり、同支部の組合員に対して、同支部を誹謗 中傷し、同支部の活動の抑制を働きかけ、配車差別の取扱いをし、同支部の弱体化を意図し て職務替えを命じ又は強行しようとしたりして、同支部の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人朝日急配株式会社は、全日本運輸一般労働組合朝日急配支部書記長X1に対し  て、チャーター手当の差額分として金2,000円を支払わなければならない。
3 被申立人朝日急配株式会社は、申立人全日本運輸一般労働組合朝日急配支部に対し、下記 文書を本命令書交付の日から7日以内に手交しなければならない。
                     記
  会社が行った次の行為は、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると愛知県地方 労働委員会によって認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないよう留意いたします。
  (1)貴支部結成の中心的人物であったX2氏及びX3氏並びに全日本運輸一般労働組合に加   入した者に対して、支部の結成を阻止するための攻撃を行ったこと。
  (2)従業員に対して「組合闘争の実例」で貴支部を避ける必要があると呼びかけたこと。
  (3)貴支部書記長X1氏に対して、支部を誹謗中傷し、チャーター手当の増額に際し、不利   益な取扱いをしたこと。
  (4)貴支部執行委員長X4氏に対して、支部活動の抑制を働きかけ、配車差別の取扱いをし   たこと。
  (5)貴支部会計監査X5氏に対して、支部弱体化を意図して職務替えを命じたこと。
  (6)貴支部執行委員X3氏に対して、支部弱体化を意図して職務替えを強行しようとしたこ   と。
  (7)昭和53年春闘要求及び同年夏季一時金要求について貴支部との団交に誠意をもって応じ   なかったこと。
                                 昭和 年 月 日
   全日本運輸一般労働組合朝日急配支部
    執行委員長 X6 殿
                           朝日急配株式会社
                            代表取締役 Y1
4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1106 契約更新拒否
組合員X5の退職は、同人自らの意思であり、会社が退職に追い込んだものであるとの支部の主張が斥けられた例。

1201 支払い遅延・給付差別
組合員X1について昭和53年6月に高速道路を利用しない仕事に替るまで、チャーター手当の増額がなされなかったのは、高速道路利用の経費節減による割戻し方式の適用を受けていたものと考えられ、不利益取扱いに当らないが、同年6月からはチャーター手当月5

1201 支払い遅延・給付差別
組合員X6の賃金が減少した原因は、同人が専属の地場の仕事を希望し、長距離の仕事に就くことが少なかったためのやむを得ないものであり、不利益取扱いではないとされた例。

1302 就業上の差別
2900 非組合員の優遇
会社が、組合員X4に対して長距離の仕事を与えず、他の従業員に比較して、1ヵ月当り 2

1302 就業上の差別
組合員X7に対する配車変更は、会社が病気あがりの者の健康に配慮した措置であり、不利益扱いではないとされた例。

1302 就業上の差別
組合X6に対する担当業務替えは、取引先の仕事が打ち切られたためとみるのが相当であり、不利益扱いではないとされた例。

2247 解決済
春闘及び夏季一時金の一連の団交において、解決済みであると述べるだけで支部組合員の理解を得るため十分な説明を行っておらず、その態度は不誠意団交であるとされた例。

2500 別組合の結成・援助
別労組の結成は、下級職制X8個人の自発的な活動によるものであったと考えられ、会社が関与した事実も明らかでないとして、会社が同人を使って別労組を結成させたとする組合の主張を斥けた例。

2620 反組合的言動
会社取締役が、組合結成の中心人物らに組合に関して問い質したりしたことが不当労働行為とされた例。

2620 反組合的言動
社長及び取締役が、支部結成の中心人物2名に対して、支部を中傷したり支部活動の抑制を働きかけたこと及び「組合闘争の実例」なる文書を掲示し支部を避けるよう従業員に呼びかけたことが、いずれも支配介入であるとされた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
新入社員X7に対し、営業、事故担当の課長が別労組への加入を勧誘したことが、同人の個人的立場によるものであり、会社の方針のもとに行ったものではないとされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
事務所内でただ1人の支部組合員X4に対して、突如、職場の人間関係を理由に職務替えを命じたことには合理的理由はなく、支部の弱体化を意図した支配介入であるとされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が支部結成に中心的役割を果したX3に対して、同人の真意にそわない職務替えを異例の手続によって強行しようとしたことが、支部の弱体化を意図した不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集70集496頁 
評釈等情報   

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