概要情報
事件名 |
安倍川製紙 |
事件番号 |
静岡地労委 昭和54年(不)第5号
静岡地労委 昭和54年(不)第9号
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申立人 |
全国紙パルプ産業労働組合連合会安倍川製紙労働組合 |
被申立人 |
安倍川製紙 株式会社 |
命令年月日 |
昭和56年11月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
管理職全員を会員とする再建同志会がその会報を通じて行った組合に対する批判的言動及び組合員間で行われていた組合執行部の解任署名活動に同調して、管理職が署名に協力するよう働きかけたことが争われた事件で、ポスト・ノーティスを命じ、将来の不作為命令を求める救済申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、本命令書受領後1週間以内に、縦1m×横2mの白紙に縦書かつ楷書で、下 記のとおり墨書し、本社正門附近の従業員の見易い場所に2週間掲示しなければならない。 記 (1)会社は、役員を除く管理職全員が昭和54年1月「再建同志会」を結成し、同月より同会 の会報「再建」等によって、貴組合の役員の在り方や諸活動について意見を表明してき たことを承知しておりましたが、同会が管理職の自主的な組織であることやその内容が 言論の自由の範囲内の適法な行為であると考えて、その活動を認めてきましたところ、 静岡県地方労働委員会において当時の諸事情を総合してみれば、貴組合に対する支配介 入行為にあたるものであると認定されました。 (2)会社は、昭和54年7月、貴組合執行部の解任署名が組合員の間で行われている際に、管 理職の地位にある従業員等が、貴組合の組合員に署名に協力するよう働きかけたこと が、貴組合に対する支配介入行為であると静岡県地方労働委員会において認定されまし た。会社は、今後、管理職の地位にある従業員等がこのような行為を行わないよう注意 致します。 昭和 年 月 日 全国紙パルプ産業労働組合連合会 安倍川製紙労働組合 執行委員長 X1 殿 安倍川製紙株式会社 取締役社長 Y1 2 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
会社の門前で「再建同志会」の会員である管理職自らが、出勤途次の従業員に対し、「決意表明」及び会報「再建」なるビラを連日配布し、ビラを通じて組合役員の在り方とか労使紛争中の組合の諸活動について意見し、批判したことは、組合員の自由な組合運営に対する意思決定を阻害するものであり、それを会社が黙認してきたことは支配介入にあたるとされた例。
2624 組合人事への干渉
3410 職制上の地位にある者の言動
管理職が、組合員の間で行われていた組合執行部の解任署名運動に際して、組合員に対して署名に協力するよう働きかけた行為は、会社の管理職としての地位において為されたものであり、会社がその責を負うべき不当労働行為であるとされた例。
3411 その他の従業員の言動
管理職全員を会員とする「再建同志会」がその名のもとに組合員に対してビラ等を配布するなどして行った組合に関しての働きかけが、私的な行為とは認められず、会社がそのことを承知し、黙認している以上、使用者としてその責を負うべきであるとされた例。
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
管理職全員を会員とする再建同志会が行ったビラによる組合への批判的言動及び組合役員選挙への介入行為に関し、組合は、将来の不作為命令を求めているが、再建同志会の「会報」活動も行われていない現状等からみて、ポスト・ノーティスで足りるとされた例。
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業種・規模 |
パルプ・紙・紙加工品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集70集426頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1982年3月1日 377号 71頁 
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