概要情報
事件名 |
大昭和運輸 |
事件番号 |
静岡地労委 昭和54年(不)第2号
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申立人 |
全日運輸一般労働組合静岡県東部地域支部 |
被申立人 |
大昭和運輸 株式会社 |
命令年月日 |
昭和56年11月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社職制による分会加入者のチェックと酒食を提供しての脱退工作、分会員を除外した社員会やその他の会合の開催、労務担当の書記長に対する脱退工作、団交における形式的な会社の対応、分会員6名に対する業務命令違反を理由とする出勤停止等の懲戒処分及び分会長X1に対する業務命令違反を理由とした出勤停止処分と61日間にわたる乗車勤務の禁止が争われた事件で、X1に対して乗車勤務すれば得べかりし賃金相当額と支払済額との差額の支払い及び誓約書の手交を命じ、分会員6名の懲戒処分に関する救済申立については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対し、昭和54年5月7日から同年7月6日までの間、同 人が乗車勤務すれば当然得べかりし賃金相当額とすでに支払った額との差額を支払わなけれ ばならない。 この場合の賃金相当額は、同期間における申立人組合員の平均稼働実績を基準としなけれ ばならない。 2 被申立人は、申立人に対し下記文書を本命令書交付の日から5日以内に手交しなければな らない。 記 当社が申立人組合を嫌悪し、組合活動に介入したこと及び団体交渉において申立人組合を 軽視したこと並びに申立人組合員X1氏に対して配車を拒否した行為が労働組合法第7条第 1号及び第3号に該当する不当労働行為であると静岡県地方労働委員会から認定されまし た。 よって、ここに深く反省し、今後再びこのような行為を繰り返さないことを誓約します。 昭和 年 月 日 全日本運輸一般労働組合 静岡県東部地域支部 執行委員長 X2 殿 大昭和運輸株式会社 代表取締役 Y1 3 申立人組合のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
分会員6名が荷積み拒否をしたことが業務命令違反にあたるとして出勤停止又は譴責の懲戒処分に付したことにつき、処分の手続および処分内容からみて分会の弱体化を意図して行った不当労働行為ではないとされた例。
1401 労務の受領拒否
会社が、組合分会長X1に対して、配車係の指示を無視したことを理由に業務命令違反として懲戒処分にしたことはやむをえないが、同人が今後同様な態度をとるであろうことを一方的に危惧即断し、61日間にわたり乗車勤務をさせなかったことは、分会長であることを理由とする報復的不利益処分であり、不当労働行為であるとされた例。
2622 組合員調査
会社職制らが分会結成直後に、運転手を集め分会加入者のチェックをしたり、別席で酒食を提供し、分会からの脱退工作を行ったことが、分会切崩しの不当労働行為であるとされた例。
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
分会員だけを除外して開催した社員会の席上、社長が分会との対抗結束を呼びかける趣旨の発言をし、別の会合でも会社幹部が出席し、席上組合を非難する内容の講義を行ったりしたことなどの行為は、間もなく社員会に属する運転手を中心に別労組が結成されたことなどからみて、会社が申立人組合を嫌悪し弱体化を意図して計画的に実施したものであり、不当労働行為とされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
3411 その他の従業員の言動
会食の席でのX3書記長に対する労務担当の言動が、同人の個人的言動としてではなく、会社側の立場で脱退工作を行ったものであり、不当労働行為にあたるとされた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
団体交渉における会社の対応が、多数組合である別組合との妥結内容を一方的に分会に伝え妥結をせまる形式的なものであり、組合軽視を意図した支配介入であるとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集70集413頁 |
評釈等情報 |
 
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