概要情報
事件名 |
上電タクシー |
事件番号 |
群馬地労委 昭和55年(不)第1号
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申立人 |
X1 外個人3名 |
被申立人 |
上電タクシー 株式会社 |
命令年月日 |
昭和56年10月 3日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社専務が労使懇談会の席上で、新しく選出された申立人ら組合役員に対し組合の路線問題に関してその運営方針を質したり、従来の路線を維持させるため上部団体の役員に来社を要請したりしたこと、就業時間中会社職制が組合役員の交替を目的とする署名活動を行ったこと、組合新役員が辞任に追い込まれた後組合の正常化を目指して「生活向上の会」の名の下に行った「組合の正常化」のための署名活動に対し、会社閉鎖をほとめかして非難したことが争われた事件で、申立人個人4人の所属する組合の運営方針、役員人事及び所属組合員の署名活動などに干渉することによる支配介入の禁止並びに文書手交を命じた。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人らの所属する上電タクシー労働組合の運営方針、役員人事及び所属組 合員の署名活動などに干渉して同労働組合の組織運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、命令書交付の日から7日以内に下記の文書を各申立人に交付しなければなら ない。 記 昭和 年 月 日 各申立人あて 上電タクシー株式会社 代表取締役 Y1 会社が、上電タクシー労働組合の運営方針、役員人事及び所属組合員の署名活動などに 干渉したことは、不当労働行為であると群馬県地方労働委員会により認定されました。今後 かかる行為は、一切行わないよう留意いたします。 3 被申立人は、前項に命ずるところを履行したときは、遅滞なく当委員会に文書で報告しな ければならない。 |
判定の要旨 |
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社役員が新組合役員の選出後まもなく開催された労使懇談会の席上で、組合三役に対し、今後の組合路線問題についての運営方針を問い質すとともに、従来の路線を維持させるため組合の上部団体役員に来社を要請したことが組合の運営方針に対する支配介入とされた例。
2624 組合人事への干渉
3410 職制上の地位にある者の言動
新組合役員の選出後、会社職制が会社内で就業中の組合員を呼んで組合役員の交替を目的とする種々の署名集めを行ったことについて、会社は自らの意に添うものとして黙認していたことが認められ、職制がいずれも組合員であったとしても、その職制の行為は、会社の不当労働行為であるとされた例。
2620 反組合的言動
「組合の正常化」を目指して行った「生活向上の会」の署名活動に対する会社役員の批判が、自己の政治的信条に添わないものに対する非難にとどまらず、会社の閉鎖をも仄めかしていることから、正当な組合活動に対する介入行為であるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集70集319頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 大塚武一 1982年3月25日 1044号 82頁 
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