労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  中川タクシー 
事件番号  奈良地労委 昭和54年(不)第3号 
奈良地労委 昭和54年(不)第5号 
申立人  奈良県自動車交通労働組合中川タクシー分会 
申立人  X1 
被申立人  中川タクシー こと Y1 
命令年月日  昭和56年10月 1日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)会社が非組合員に対してのみ昭和52年年末一時金を支給したり、53年夏季・年末一時金について追加金を支給したこと、(2)昭和53年及び54年に慰安旅行補助金を非組合員のみに支給したこと、(3)昭和54年夏季一時金の残金を支給しないこと、(4)昭和52年11月に1人当たり2万円の支給金を非組合員のみに支給したこと並びに(5)組合員X1の解雇等が争われた事件で(そのうち昭和54年夏季一時金の残金支給及び組合員X1の解雇等については和解成立のため取下げ)、組合員に対して昭和52年年末一時金及び昭和53年夏季一時金、年末一時金の追加金について非組合員と同様の支払いを行うこと及びポスト・ノーティスを命じ、1人当たり2万円の支給金支払いについては期間徒過で却下し、慰安旅行補助金及び組合員X1に係るポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人分会員に対し非組合員に支給した昭和52年12月の年末一時金、同53年 8月の夏期一時金の追加金及び同年12月の年末一時金の追加金を非組合員と同様に扱って支 払わなければならない。
2 被申立人は、申立人分会に対して本命令書受領の日から1週間以内に、縦1m×横2mの 白色木版に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人の事務所内の従業員の見やすい場所に10 日間掲示しなければならない。
                     記
                                昭和 年 月 日
   奈良県自動車交通労働組合
    中川タクシー分会
     分会長 X2 殿
                              中川タクシー
                               Y1
  私は非組合員に対し、昭和52年12月の年末一時金、同53年8月の夏期一時金の追加金及び 同年12月の年末一時金の追加金を支給し、貴分会の分会員とを差別したことは労働組合法第 7条第1号に該当する不当労働行為であると奈良県地方労働委員会により認定されました。 よって、このことを反省し、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
 以上、奈良県地方労働委員会の命令により掲示します。
 (注 年月日は掲示の日を記載すること。)
3 昭和52年11月の支給金に関する申立ては、これを却下する。
4 申立人らのその余の申立は棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
5201 継続する行為
非組合員に対してのみなされた昭和52年年末一時金の支給、53年夏期一時金及び同年年末一時金の追加金の支給について、冬・夏期を通じて毎期強固な不当労働行為意思のもとに、同種行為として連続的になされたものであり、「継続する行為」に該当する不当労働行為であるとされた例。

1601 福利厚生上の差別
非組合員に対して支給した慰安旅行補助金は、一時金差別とは性格を異にするものであって、当時、分会員が同旅行を計画し、その支給を要求して断られたという確たる主張及び立証がない以上、この行為は不当労働行為とはいえないとされた例。

5201 継続する行為
昭和52年11月に非組合員に対して繁忙時に支給した1人当たり2万円の支給は、夏・冬期における一時金とはかなり性格を異にするもので、一時金差別とは異なり「継続する行為」とみることはできず、一回限りの行為であるとみるのが妥当であり、従って54年10月に申立てがなされたもののうち本件については、1年の期間が経過しているので却下を免れないとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集70集312頁 
評釈等情報   

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