概要情報
事件名 |
日本交通・兵庫日本交通 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和55年(不)第9号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合関西地区生コン支部 |
被申立人 |
日本交通 株式会社 |
被申立人 |
兵庫日本交通 株式会社 |
命令年月日 |
昭和56年 8月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
親会社N社による子会社H社のバスガイドの親会社営業所への配置換え・その後の不補充及びこれらに関する不誠意団交、親睦会行事の不開催、組合事務所貸与の組合間差別、会社借り上げの組合事務所の賃借料の組合への不払い等が争われた事件で、N社の使用者性を認めた上で、両社に対し、親睦会支部運営委員会を招集させること、H社構内に組合事務所を貸与すること及びバスガイドの配置換え等についての誓約書の手交を命じ、団交応諾とポスト・ノーティスについては申立てを棄却した |
命令主文 |
1 被申立人らは、兵庫日本交通株式会社所Y1をして、日本交通観光バス会兵庫日本交通観 光バス会支部運営委員会を招集させなければならない。 2 被申立人らは、申立人組合の兵庫日本交通観光バス分会に対して、兵庫日本交通株式会社 構内に、組合事務所を貸与しなければならない。 3 被申立人らは、申立人組合に対して、速やかに下記の文書を手交しなければならない。 記 年 月 日 申立人代表者名 日本交通株式会社代表者名 兵庫日本交通株式会社代表者名 当社は、兵庫日本交通株式会社に配属した昭和54年度新規採用バスガイドを、日本交通株 式会社に配置換えするなどして、申立人組合の兵庫日本交通観光バス分会が結成されてから 後、兵庫日本交通株式会社に1名もバスガイドを補充しませんでしたが、この行為は、労働 組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り 返さないことを誓約します。 4 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2113 交渉団体として不適格
子会社H社の従業員で組織する分会との団交を親会社N社が拒否している旨の申立てについて、N社はH社と一緒に組合と20回にわたり団交しており、申立ては事実に反するとして棄却した例。
2240 説明・説得の程度
親会社による子会社のバスガイドの配置換え問題等に関する団交申入れに対し、子会社は誠実に応じていないとの申立てについて、交渉が何回も行われているとして、棄却した例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
別組合には親会社N社の営業所内に組合事務所を貸与しながら申立人組合に貸与しなかったことが不当労働行為とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が団交の席上、組合事務所を社外に設けるなら、その賃借料を会社が支払う旨約束したとしても、賃借すべき組合事務所の大きさ、賃借料等の具体的取決めが労使間でなされていない以上、分会の賃借料立て替え分の支払い請求に応じなくとも不当労働行為にはならないとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
子会社H社のバスガイド予定者として採用したものを親会社N社が申立人組合の存在しない自己の営業所へ一方的に配置換えし、その後H社にバスガイドを補充しなかったことが、組合壊滅を企図した不当労働行為とされた例。
3106 その他の行為
労使間において開催されてきた親睦会行事について別組合と差別した事実はないが、親睦会行事の運営方針を検討する運営委員会を合理的根拠もなく再開しなかったのは、申立人らを諸行事から排除せんとする不当労働行為であるとされた例。
4614 文書手交のみを命じた例
親企業によるバスガイドの不補充による分会弱体化に関する救済方法として、分会の運転手に対応する数のバスガイドの補充を求めているが、補充の必要性・補充すべき人数等の主張・立証が不十分であり、誓約文の手交を命ずることが相当であるとされた例。
4915 親会社
N社はH社の採用、賃金等労務について主要な権限を保有していることなどからみて、H社の従業員で組織された組合に対して労組法上の使用者性を有していることは明らかであるとされた例。
5006 採用の請求
従業員の採用計画そのものは人事権に基づくもので公的機関が介入すべきではないが、本件バスガイドの不補充が組合破壊を目的とした不当労働行為か否かを判定することは労働委員会の当然の権能であるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(バス専業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集70集229頁 |
評釈等情報 |
 
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