概要情報
事件名 |
済生会神奈川県病院 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和55年(不)第9号
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申立人 |
全済生会労働組合神奈川県支部 |
申立人 |
全済生会労働組合 |
申立人 |
X1 |
被申立人 |
社会福祉法人 恩賜財団済生会 |
被申立人 |
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部神奈川県済生会 |
命令年月日 |
昭和56年 8月 6日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
一旦婦長候補としながら、組合を脱退しないことを理由に副執行委員長を婦長に昇格させなかったことが争われた事件で、婦長への昇格及びポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X1を昭和55年4月1日付けで恩賜財団済生会神奈川県病院看護部看護科婦長に昇格させなければならない。 2 被申立人は、本命令受領の日から5日以内に下記文書を縦1m×横1.5mの白紙に墨書し恩 賜財団済生会神奈川県病院の職員通用口掲示板及び職員食堂内掲示板に10日間毀損すること なく掲示しなければならない。 記 当済生会及び神奈川県済生会が、貴組合員X1氏の看護部看護科婦長への昇格を内示しな がら、同氏が貴組合神奈川県支部副執行委員長に再任されるや、同氏が組合を脱退しないこ とを理由として婦長に昇格させなかったことは神奈川県地方労働委員会より不当労働行為と 認定されました。ここに貴組合及びX1氏に陳謝するとともに、再びかかる行為を繰り返さ ないことを誓約します。 昭和 年 月 日 全済生会労働組合 執行委員長 X2 殿 全済生会労働組合神奈川県支部 執行委員長 X3 殿 社会福祉法人恩賜財団済生会 理 事 長 Y1 社会福祉法人恩賜財団済生会支部 神奈川県済生会 業務担当理事 Y2 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
一旦、婦長候補としながら副執行委員長X1を婦長に昇格させなかったことが、同人が組合を脱退する意思のないことを理由としてなされた不当労働行為とされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合を脱退しないことを理由に副執行委員長X1を婦長に昇格させなかったことが、一般の組合員をして組合にとどまること、あるいは組合活動をすることによる昇格上の不利益を予測させ、組合の団結に少なからぬ影響を与えたものと思料され、組合運営に支配介入したものとされた例。
4415 賃金是正を命じた例
婦長への昇格拒否の救済にあたり、不当労働行為がなければ昇格したであろう日に遡り昇格させること及びポスト・ノーティスを命ずることが相当とされた例。
4611 P.Nの掲示の場所を配慮した例
ポスト・ノーティスを命ずるにあたり、病院という公共性を考慮し職員通用口及び職員食堂内の掲示すべき場所として相当であるとされた例。
4820 単一組織の支部・分会等
申立人組合には、被申立人が「使用者の利益を代表する者」と主張する診療各科部長は1人も参加しておらず、その他の利益代表者が加入している事実もなく、申立人組合は申立人適格を有するとされた例。
4905 経営補助者
不当労働行為の帰責主体は、実質上、従業員である労働者の管理に当たる事業体としての使用者であり、形式上の代表者名の異同により帰結を異にするものでなく、従って、会及び会の支部の代表者として申立人から指名された理事長又は理事には救済命令を受けても履行の権限・資格がなく、被申立人適格がないとの主張は、採用できないとされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集70集161頁 |
評釈等情報 |
労働判例 昭和56年12月15日 373号 78頁 
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