労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東京西コクヨ 
事件番号  東京地労委 昭和54年(不)第100号 
東京地労委 昭和55年(不)第72号 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方本部中部地域支部東京西コクヨ分会 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方本部 
被申立人  株式会社  東京西コクヨ 
命令年月日  昭和56年 7月21日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  分会長の机引き出し等の無断点検、スト後の女子分会員に対する入室拒否及び着替え妨害、専務のスト非難発言に抗議した分会員に対する職制らの暴行、就業後の会社内で組合活動を行っていた分会長に対する職制の暴行、専務らの反組合的言辞、職制らの分会員に対する組合脱退慫慂、昭和53年度昇給、一時金の査定差別、ストによる不就労を理由に繁忙手当としての「お礼金」の差別支給、書記長に対するアルバム販売専従命令が争われた事件で、職制らによる分会員への嫌がらせ及び組合脱退慫慂、退職強要の禁止、昇給・一時金の平均査定額との差額及び「お礼金」の差額の支払い、書記長のアルバム販売専従命令の撤回及び従前業務への就業並びに文書手交を命じ、組合員X1の一時金支給差別については不当労働行為ではないとし、陳謝済みの女子分会員のスト後の入室妨害については主文で命ずる必要はないとして、これらの申立てについては棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社東京西コクヨは、役員あるいは管理職をして申立人総評全国一般労働組 合東京地方本部中部地域支部東京西コクヨ分会の分会員に対し、分会員の私物を無断で点検 すること、分会のストライキを非難する発言に対して抗議したことを理由に分会員を朝礼か ら実力で排除すること、就業時間外の会社内での組合業務を実力で妨害すること、組合関係 の書類の持込みを一律に禁止する旨の発言をすることなどの嫌がらせをさせてはならない。
2 被申立人会社は、役員あるいは管理職をして、直接にまたは組合員の保証人を介して申立 人分会の分会員に対して、組合からの脱退慫慂や退職の強要をさせてはならない。
3 被申立人会社は、申立人分会の分会員X2、同X3の昭和53年度昇給額を平均査定昇給額 で昇給したものとして再計算し、すでに支給済みの賃金との差額を支払わなければならな  い。
4 被申立人会社は、すでに支給済みの昭和53年年末一時金と平均査定一時金額との差額とし て、申立人分会の分会員X2、同X3に対しては2万円を、同X4に対しては1万円を、そ れぞれ支払わなければならない。
5 被申立人会社は、昭和54年5月31日に申立人分会の分会員に支給した「お礼金」と「お礼 金」の一律支給額(男子一般社員3万円、主任5万円)との差額として、申立人分会の分会 員X2に対して3万円を、同X3、同X4に対してはそれぞれ1万円を支払わなければなら ない。
6 被申立人会社は、申立人分会の分会員X3に対する第一営業部アルバム専従の辞令を撤回 し、従前と同様の業務に就かせなければならない。
7 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記の文書を申立人総評全国一般 労働組合東京地方本部及び同中部地域支部東京西コクヨ分会に交付しなければならない。
                     記
                               昭和 年 月 日
   総評全国一般労働組合東京地方本部
    中央執行委員長 X5 殿
   総評全国一般労働組合東京地方本部
    中部地域支部東京西コクヨ分会
     分 会 長  X2 殿
                        株式会社 東京西コクヨ
                         代表取締役 Y1
  当社が行った下記の行為は、東京都地方労働委員会において、不当労働行為であると認定 されました。
  今後このようなことを繰り返さないよう留意します。
                      記
  (1)Y2課長が無断でX3氏の机の引出し、鞄を開けたこと。
  (2)朝礼での無許可発言を理由として、X2、X3両氏を実力で排除したこと。
  (3)X2氏が就業時間外に行っていた組合業務を、体当りするなどして妨害したこと。
  (4)組合関係の書類持込みを一律に禁止すると発言したこと
  (5)貴組合の組合員、X6、X7、X8、X9、X10各氏に対して、組合からの脱退慫慂    や退職強要を行ったこと。
 (6)X2、X3両氏に対して、昭和53年度昇給にあたり、差別を行ったこと。
  (7)X2、X3、X4各氏に対して、昭和53年年末一時金及び昭和54年5月31日支給の「お   礼金」について、差別を行ったこと。
  (8)X3氏に対し、アルバム専従を命じたこと。
8 被申立人会社は、前記第3ないし7項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報 告しなければならない。
9 その余の申し立てを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員の昭和53年度昇給、一時金について他の従業員より低く査定したことが不当労働行為とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
入社初年度の分会員X1に対する一時金の査定は、従来通りの新卒者の取り扱いに従ってなしたものであり、不当労働行為ではないとされた例。

1302 就業上の差別
分会書記長に対するアルバム販売の専従命令が、業務上特段の必要性を有するものではなく、同人を退職に追い込み組合潰滅を企図してなした不当労働行為とされた例。

1205 別組合員に対する特別手当の支給
繁忙手当としての「お礼金」の支給にあたり、ストによる不就労を理由に他の従業員と差別して支給したことが不当労働行為とされた例。

2620 反組合的言動
専務らの「組合関係書類の社内持込みを一切禁止する」旨の発言が、反組合的言辞にあたり組合への支給介入とされた例。

2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
3420 従業員の親族・保証人・友人の言動
分会員X6の保証人による同人の父親への組合脱退勧奨行為が、会社の働きかけによりなされた不当労働行為であるとされた例。

2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
部長代理らが分会員X7に対しその父親を通じて行った組合脱退慫慂及び退職強要が、不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
部長代理らが分会員X8らに対して行った組合脱退慫慂が不当労働行為とされた例。

2700 威嚇・暴力行為
専務のスト非難発言に抗議した分会員X3に対する職制の暴行が、組合への支配介入とされた例。

2700 威嚇・暴力行為
会社内で就業後に組合関係の書類を作成していた分会長X2に対する職制の暴行が、組合への支配介入とされた例。

3100 スパイ
課長が分会教宣部長X3の机の引き出し及び鞄を無断で点検したことが、分会に対する支配介入とされた例。

2700 威嚇・暴力行為
管理職らがスト後の女子分会員に対して入室及び着替えを妨害したことが、ストに対する報復的措置としてなされた不当労働行為とされた例。

4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
女子分会員に対するスト後の入室妨害の救済について、既に分会に陳謝していることから主文で命ずる必要はないとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集70集111頁 
評釈等情報   

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