概要情報
事件名 |
理化電機工業 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和53年(不)第45号
神奈川地労委 昭和53年(不)第52号
神奈川地労委 昭和54年(不)第19号
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申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方本部 |
申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方本部理化電機工業労働組合 |
被申立人 |
理化電機工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和56年 6月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
申立組合員の多い課の営業活動担当地域の縮小による組合員の仕事差別・組合員に対する昇給・昇格差別が争われた事件で、営業活動担当地域の指定にあたり組合員以外の者との間に仕事上の差別を行わないこと並びに昇給・昇格の是正及び差額の支給それらの差別を通しての組合運営への介入禁止、ポスト・ノーティスを命じ、具体的な主張・立証のない組合員らに対する昇給・昇格に関する申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、被申立人会社が昭和53年4月1日付で行った本社営業部販売2課のテリ トリー変更などのように、今後テリトリーの指定に当たって申立人組合とその余の従業員と の間に仕事上の差別的取扱いをしてはならない。 2 被申立人会社は、昭和52年12月18日に遡って申立人組合に所属する下記1記載の従業員16 名に対しては既昇格者を含め、少なくとも8割の者を係長又は主任等1級に昇格させ、下記 2記載の従業員13名に対しては少なくとも6割の者を主任等2級に昇格させたものとして取 扱うとともに、そのとおり昇格していたならば支給すべきであった手当額(一時金へのはね 返り分を含む。)に年5分の割合による金員を加算して支給しなければならない。 (下記略) 3 被申立人会社は、申立人組合に所属する次表(省略)記載の従業員49名に対し、それぞれ 昭和53年4月25日に遡って同表記載の基本給に是正するとともに、その是正基本給を基礎と した賃金と現実に支給した賃金との差額相当額及びこれに対する年5分の割合による金員を 加算して支給しなければならない。 4 被申立人会社は、昇格、昇給をはじめとする賃金等人事上の措置を行うに当たり申立人組 合員を申立人組合員以外の従業員に比し、不利益に取扱うことによって申立人組合の運営に 支配介入してはならない。 5 被申立人会社は、申立人組合に対し、本命令交付後5日以内に下記文書を手交するととも に同文書を縦1m×横2mの白色木板に鮮明に墨書し、被申立人会社東京本社、東京営業所 並びに横浜工場の正門近くの従業員の見やすい場所に、2週間にわたり毀損することなく掲 示しなければならない。 記 当社が、貴組合及び貴組合員に対して行った次の各行為は、今般神奈川地方労働委員会に より、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されまし た。 (1)昭和53年4月1日付で行った本社営業部販売2課のテリトリーから秋田県等地方6県を 削除し、貴組合員とその余の従業員との間にテリトリーの指定に当たって差別的取扱い を行ったこと。 (2)貴組合に所属する従業員に対し、貴組合員以外の従業員に比し、昇格措置を行うに当た りこれを差別し、不利益に取扱ったこと。 (3)貴組合に所属する従業員に対し、貴組合員以外の従業員に比し、昇給措置を行うに当た りこれを差別し、不利益に取扱ったこと。 会社は、上記の行為による貴組合員に対する不利益取扱いを速やかに是正するとともに、 今後このような行為は、決してくり返さないことを誓約いたします。 昭和 年 月 日 理化電機工業株式会社 代表取締役 Y1 総評全国一般労働組合神奈川地方本部 執行委員長 X1 殿 総評全国一般労働組合神奈川地方本部 執行委員長 X2 殿 6 申立人らのその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
2901 組合無視
申立組合員29名の昇格について別組合員及び非組合員よりも遅らせたことが不当労働行為であるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
申立組合員の昇給について、別組合員及び非組合員よりも低く査定したことが不当労働行為とされた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立組合員の多い課の営業活動担当地域を縮小し、他へまわしたことが組合員の仕事差別であり、不当労働行為にあたるとされた例。
4413 給与上の不利益の場合
争議行為を理由に解雇された組合員5名については、別件命令により原職復帰が命ぜられているから、これら5名も本件昇格差別の救済対象者の範囲に含めるのが相当とされた例。
4415 賃金是正を命じた例
昇格差別の是正にあたり、他組合員や非組合員も対象者全員が昇格しているわけではないので、組合員の対象者全員を昇格させる必要はなく、他組合員等の平均昇格率と同じ割合で昇格是正を行うことで足りるとした例。
4415 賃金是正を命じた例
賃金格差の是正にあたり、他従業員の成績率分布表が必ずしも明らかでないことから申立人組合の求める年功序列を基準とする救済方式により是正を命ずることが相当とされた例。
4416 将来にわたる不作為を命じた例
4617 その他
営業活動担当地域差別の救済として、業務命令の取消しを求めているが、業務移管後3年余を経過していることから、ポスト・ノーティスと爾後の取扱いにあたって別組合と差別しないよう命ずるにとどめるとされた例。
4413 給与上の不利益の場合
5008 その他
昇給差別の是正について52年7月に遡及した救済を求めているが、申立てが53年12月18日になされていること、会社は昇格の時期について特段の定めをしていないことから考えて、1年前の52年12月18日付で是正を命ずるのが相当であるとれた例。
5121 挙証・採証
昇格・昇給差別について特定対象者の救済のほか、その他の組合員についても格差があれば是正すべきことを求めた件につき、特定対象者以外については何らの主張・立証もなかったので棄却するとされた例。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集69集557頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1981年11月1 日 370 号 66頁 
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