概要情報
事件名 |
桂川精螺製作所 |
事件番号 |
東京地労委 昭和48年(不)第48号
東京地労委 昭和49年(不)第122号
東京地労委 昭和52年(不)第33号
東京地労委 昭和53年(不)第79号
東京地労委 昭和54年(不)第76号
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申立人 |
総評全国金属労働組合東京地方本部大田地域支部 |
申立人 |
総評全国金属労働組合東京地方本部大田地域支部桂川精螺分会 |
被申立人 |
株式会社 桂川精螺製作所 |
命令年月日 |
昭和56年 6月 2日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
46年度ないし53年度の昇給・昇格差別が争われた事件で、組合員8名に対する47年度及び51年度ないし53年度における昇給額の是正及び一時金へのはね返りを含めた差額の支給、組合員14名に対する51年5月付けでの役職位是正及び役職手当差額等の支給と、今後における昇給、昇格差別の禁止並びにポスト・ノーティスを命じ、46年度及び48年度ないし50年度の昇給差別にかかる申立てについては除斥期間徒過により却下し、申立後組合を脱退した2名については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社桂川精螺製作所は、申立人総評全国金属労働組合東京地方本部大田地域 支部桂川精螺分会に所属する「別表1」(省略)記載の組合員に対し、次の措置を講じなけ ればならない。 (1)47年度および51年度ないし53年度における基準給の昇給額のうち、基準給比および一律 給比に相当する部分を除いた残りの部分の昇給率で昇給したものとして再計算し、すで に支給済の基準給との差額を支払うこと。 (2)52年度および53年度における昇給問題平和解決一時金についても、(1)と同様に取り扱う こと。 (3)47年度および51年度ないし53年度における各期の一時金を前記(1)で是正した各基準給に 基づき、各期の係数を乗じて再計算し、すでに支給済の一時金との差額を支払うこと。 2 被申立人会社は、申立人組合に所属する「別表2」(省略)記載の組合員に対し、51年5 月21日付をもって同表記載の役職位に昇格させるとともに、それにともない51年度ないし53 年度分として、つぎの措置を講じなければならない。 (1)役付手当相当額を支払うこと。ただしX1およびX2については、すでに支給済の役付 手当との差額を支払うこと。 (2)一時金の役付手当加算分相当額を支払うこと。ただしX1およびX2については、すで に支給済の一時金の役付手当加算分との差額を支払うこと。 (3)X3、X4、X5、X6およびX7に対して、住宅手当の妻帯者割高分相当額を支払う こと。 3 被申立人会社は、今後申立人組合員に対して、申立人組合の組合員であることの故をもっ て、昇給および昇格について申立人組合以外の者との間に差別をしてはならない。 4 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記の文書を55cm×80cm(新聞紙 2頁大)の白紙に明瞭に墨書して、会社社員食堂黒板に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 総評全国金属労働組合東京地方本部 大田地域支部 執行委員長 X8 殿 総評全国金属労働組合東京地方本部 大田地域支部桂川精螺分会 分会長 X6 殿 株式会社 桂川精螺製作所 代表取締役 X9 貴組合所属の組合員各位に対し、昇給昇格の差別をしたことは、不当労働行為であると東 京都地方労働委員会において認定されました。今後かかることをくり返さないよう留意いた します。 5 46年度および48年度ないし50年度における昇給差別に係る申立てを却下する。 6 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
2901 組合無視
作業態度などの考課要素の評価基準が明らかでなく、また、組合員の勤務成績が劣っているとの具体的疎明もなく、考課方法についての組合の説明要求にも応じないことから、成績考課が合理的な理由なしに行われたとして、47年度および51~53年度の昇給差別が不当労働行為とされた例。
1200 降格・不昇格
2900 非組合員の優遇
2901 組合無視
昇格についての成績考課も昇給と同様、公正適切に行われたとは認められないことから、組合員が低職位に据え置かれていることが組合員であるが故の差別であるとされた例。
5201 継続する行為
昇給・昇格を決定する行為は、それ自体としてみる限り、1回限りの行為であるが、使用者が組合活動を嫌悪し、かつ、組合員を差別する意思のもとに毎年度の昇給、昇格の決定にあたり差別をくり返していると認めるに足る具体的徴表が顕在化している場合は使用者の不当労働行為意思は一貫して存在し、各年度の各個の行為は、連続して一体をなしているものと判断することができる。しかしながら、46年度以前及び48年度ないし50年度の各年度の昇給決定行為については、組合がその都度差別是正を求めるなどの具体的徴表に関する疎明をしていないので、「継続する行為」と認めることはできない。よって、1年以内の事項について申し立てた47年度及び51年度ないし53年度の昇給差別を除いて、救済の対象とすることはできない、とされた例。
5200 除斥期間
組合が最終昇格時(48年6月)から4年も経た52年5月になって昇格是正を求めてきたことにつき、昇格が過去3カ年内外を目途に行われて来た運用実態からすれば、少なくとも最終昇格実施時(48年6月)から3年後の51年度に昇格させて然るべきであり、その時期からみれば、本件申立ては1年以内のものであり「除斥期間」を徒過していないとして救済対象とした例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
申立て後に組合を脱退した2名については申立て意思を放棄したものと推認しうるとして同人らに関する申立てが棄却された例。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集69集497頁 |
評釈等情報 |
 
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