労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ホテルニュージャパン 
事件番号  東京地労委 昭和54年(不)第72号 
東京地労委 昭和54年(不)第107号 
東京地労委 昭和55年(不)第2号 
東京地労委 昭和55年(不)第51号 
申立人  ホテルニュージャパン労働組合 
被申立人  株式会社 ホテルニュージャパン 
命令年月日  昭和56年 5月26日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合との協定を無視した組合に対する会社施設の利用及び時間内組合活動の禁止、組合会議出席者のチェック、団交への社長の不出席、ユ・シ協定の更新拒否通告及びユ・シ協定無視の社長の言動、管理職による脱退届の提出などの脱退勧奨、チェック・オフの一方的廃止、業務説明会におけるトラブルを理由とした委員長以下7名の懲戒解雇等が争われた事件で、組合活動のための施設利用の拒否や時間内組合活動をしたことを理由とする不利益取扱いの禁止、組合活動に対する監視の禁止、必要に応じての社長出席を含む誠意ある団交の応諾、ユ・シ協定の失効問題を利用した組合脱退慫慂言動の禁止、管理職による組合脱退工作の禁止、チェック・オフの実施、組合員7名に対する原職復帰及びバック・ペイ並びにポスト・ノーティスを命じ、ユ・シ協定の更新拒否通告については申立てを棄却した。 
命令主文  1(1) 被申立人株式会社ホテルニュージャパンは、申立人ホテルニュージャパン労働組合に対   し、同組合と合意した組合活動のための施設利用を拒否したり、同じく合意した時間内   組合 活動をしたことを理由に不利益に扱う旨の申入れをしてはならない。
 (2) 被申立人会社は、申立人組合の執行委員会や職場委員会への出席者をチェックするなど   して、正当な組合活動を監視してはならない。
2 被申立人会社は、申立人組合の求める団体交渉に誠意をもって応じなければならず、昭和 54年10月13日の確認どおり必要に応じては、被申立人会社社長も団体交渉に出席させなけれ ばならない。
3 (1)被申立人会社は、申立人組合の組合員に対し、ユニオンショップ協定の失効問題を利用   して申立人組合からの脱退を慫慂するような言動を行ってはならない。
 (2)被申立人会社は、管理職をして、申立人組合の組合員に代って組合脱退届を提出させた   り、申立人組合の組合員に対し、申立外ホテルニュージャパン従業員組合へ加入勧奨さ   せるなどして、申立人組合からの脱退工作を行ってはならない。
4 被申立人会社は、申立人組合からチェック・オフすべき対象者名、金額についての通告が あったときは、組合費のチェック・オフを行わなければならない。
5 被申立人会社は、申立人組合の組合員X1他7名に対し、次の措置を含め昭和55年6月11 日以降懲戒解雇されなかったと同様の状態を回復させなければならない。
  (1)原職(又は原職相当職)に復帰させること。
 (2)解雇の翌日から原職(又は原職相当職)に復帰するまでの間に、同人らが受けるはずで   あった賃金相当額(そのうち一時金相当分は、従業員平均の査定による)を支払うこ    と。
6 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に55cm×80cm(新聞紙2頁大)の大き さの白紙に、下記内容を楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の社員入口の見易い場所に10 日間掲示しなければならない。
                      記
                             昭和  年  月  日
   ホテルニュージャパン労働組合
    執行委員長 X2 殿
                         株式会社 ホテルニュージャパン
                          代表取締役社長 Y1
  当社が行った次の行為は、それぞれ不当労働行為であると東京都地方労働委員会において 認定されました。今後かかる行為を繰り返さないよう留意いたします。
 1 (1)貴組合に対し、貴組合と合意した組合活動のための施設利用を拒否したり、同じく合    意した時間内組合活動をしたことを理由に不利益に扱う旨の申入れをしたこと。
  (2)貴組合の執行委員会や職場委員会への出席者をチェックするなどして、正当な組合活    動を監視したこと。
 2貴組合の求める団体交渉を拒否したり、誠意をもって団体交渉を行わなかったこと。ま   た、昭和54年10月13日の確認どおり当社社長が団体交渉に出席しなかったこと。
 3 (1)貴組合員に対し、会社は、ユ・シ協定などは守らないとか、同協定は既になくなって    いるとかいって貴組合からの脱退を慫慂するような言動を行ったこと。
   (2)管理職をして、貴組合員に代って組合脱退届を提出させたり、貴組合員に対し申立外    ホテルニュージャパン従業員組合へ加入勧奨させるなどして、貴組合からの脱退工作    を行ったこと。
 4貴組合員からチェックオフを行わなかったこと。
 5貴組合員X1氏以下7名を懲戒解雇したこと。
7 被申立人会社は、前記第56項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなけ ればならない。
8 その余の申立を棄却する。 
判定の要旨  0600 暴力行為
業務説明会における社長の発言を契機として発生したトラブルを理由に、委員長以下7名の組合員を懲戒解雇処分に付したことにつき、それを奇貨として組合の壊滅を企図した不当労働行為であるとされた例。

2248 実質的権限のない交渉担当者
2901 組合無視
賃上げ、人員補充等の要求にかかる団交に社長が出席せず、直接従業員に賃上げの回答をしたり、事務折衝にのみ応じたりしていることが組合無視の団交拒否ないし不誠実団交であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長自らが組合の頭越しに、ユ・シ協定の存在期間中あるいは同協定の存続期間経過後において、組合を脱退されても解雇はしないなどことさら組合を無視ないし中傷するが如き言動をしたことが支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2623 脱退届け作成・提出強要
管理職が組合員に代って組合脱退届を提出したり、新たに結成される組合への加入を勧奨したことが不当労働行為とされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
3103 労働協約締結をめぐる行為
営業に差し支えるなど特段の事情もないのに、組合活動のための施設の利用を禁止したり、時間内組合活動をしたものは解雇するなどの言動をしたことが、組合との協定に反した明白な支配介入であるとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
法の要求する解約予告とは認め難い方法で、一方的にチェック・オフ協定を破棄通告し、チェック・オフをとりやめたことが不当労働行為とされた例。

3100 スパイ
組合事務所前において組合会議出席者の監視をしたことが支配介入であるとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
解雇された委員長以下7名の救済にあたって命ずるバック・ペイには一時金相当額を含むことは当然であるが、一時金の査定については別件事件が係属しているためこれにふれることは相当でないものの、バック・ペイ額を特定するための当面の措置として従業員の平均を基準として命ずるとされた例。

4820 単一組織の支部・分会等
就業時間中の執行委員会などの組合活動について、協定により賃金カットをうけないことがあっても、組合運営の実態からみて自主性を失っているとは認められないとして、申立人適格を認めた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
ユ・シ協定の更新拒否通告自体は所定の手続を踏んでおり、直ちにそれが不当労働行為を構成するものではないとされた例。

業種・規模  旅館、その他の宿泊所 
掲載文献  不当労働行為事件命令集69集476頁 
評釈等情報  労働判例 1981年10月1 日368 号 75頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京地労委 昭和54年(不)第72号
東京地労委 昭和54年(不)第107号
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)   昭和55年 3月 4日 決定 
 
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