労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  谷ハブ工業 
事件番号  大阪地労委 昭和54年(不)第5号 
大阪地労委 昭和54年(不)第26号 
申立人  全大阪金属産業労働組合 
被申立人  久保田鉄工 株式会社 
被申立人  谷ハブ工業 株式会社 
命令年月日  昭和56年 4月10日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  便宜供与等に関する協定の一方的破棄、家族手当の改訂に係る協定の不履行、団交における社長発言、組合非難の言動を理由として懲戒解雇した元部長の再雇用、会社施設の無断使用を理由とする警告、執行委員らに対する雑用等の仕事差別、配転及び係長職からの降職、組合員の解雇に関する発注元企業の責任等が争われた事件で、執行委員ら2名に対する係長等の職にあったものとしての取扱い及び手当相当額の支払い、執行委員1名に対する配転がなかったものとしての取扱い及び手当相当額の支払い並びに協定の一方的破棄、家族手当の増額不履行、社長発言等に関する文書手交を命じ、元部長の再雇用の撤回等については申立てを棄却し、発注元企業に対する申立てについては却下した。 
命令主文  1  被申立人谷ハブ工業株式会社は、申立人組合の組合員X1及びX2に対して、同人らがそ れぞれ昭和54年4月12日から係長、昭和55年4月1日から主務の各職にあるものとして取り 扱い、X2に対しては、昭和53年11月13日以降、トラクター・ブレーキの組立作業に従事し ていれば同人が受けるはずであった組立手当相当額を支払わなければならない。
2  被申立人谷ハブ工業株式会社は、申立人組合の組合員X3に対して、昭和54年2月に行っ た配置転換がなかったものとして取り扱い、同月以降同人が受けるはずであったターレット 手当相当額を支払わなければならない。
3  被申立人谷ハブ工業株式会社は、下記の文書を速やかに申立人に手交しなければならな  い。
                      記
                                 年  月  日
   申立人代表者あて
                       被申立人谷ハブ工業株式会社代表者名
  当社が行った下記の行為は、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為 であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。
                      記
 (1)昭和53年3月25日付けの貴組合との協定について一方的に破棄通告したこと
  (2)昭和53年7月13日付けの貴組合との協定に反し、同年9月から家族手当を増額しなかっ   たこと
  (3)昭和53年10月6日、当社代表取締役Y1が、貴組合との団体交渉において、貴組合を誹   謗・中傷する発言を行ったこと
  (4)貴組合が当社施設を使用したことに対し、貴組合に警告を発したこと
  (5)昭和53年10月から貴組合員X1氏、同年11月から同X2に対して、雑役的作業を命じた   こと
  (6)昭和54年4月12日、組織変更を行い、貴組合員X1、同X2、同X4の各氏に対して、   係長を解任したこと
4  申立人の被申立人谷ハブ工業株式会社に対するその他の申立ては棄却する。
5  被申立人久保田鉄工株式会社に対する申立ては却下する。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
執行委員らに対し、反抗的であること等を理由に雑役的仕事を命じたり、配転したりした上、受注量の減少に伴う組織変更を理由として係長職を解任したことが不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
団交中における「組合の存在自体が会社の経営を困難にしている」という内容の社長発言が不当労働行為とされた例。

3020 組合活動への制約
3103 労働協約締結をめぐる行為
便宜供与に関する協定の使用者による一方的な破棄後、組合の会社施設利用は無断使用であるとして警告したことが支配介入であるとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
便宜供与等を定めた協定を一方的に破棄したことが支配介入であるとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
夏季一時金の妥結にあたり、家族手当の改訂を前提に協定を締結したにもかかわらず、その後増額しなかったことにつき、同協定に「増額する」との明文の記載がなされていなかったことに籍口して、実質的に協定中の家族手当に関する部分を破棄したもので、不当労働行為にあたるとされた例。

2304 経営事項
組合非難の言動を理由に部長を懲戒解雇し、その後1年以上経て同人を再雇用したことにつき、そのことによって同人の言動を会社が容認したとは解されず、その問題は解決ずみのものであり、不当労働行為にはならないとされた例。

4900 請負・委任・派遣契約
組合員の解雇は、発注元企業K社の指示に基づくものだとして当該企業を相手として申し立てた件につき、会社の全受注量の60%はK社の発注であるとはいえ、両者の間には資本上も人事上も全く関係がなく、解雇もK社の指示に基づくものと解しえないので、K社に被申立人適格はないとして、却下した例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集69集398頁 
評釈等情報   

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