概要情報
事件名 |
三菱重工業 |
事件番号 |
山口地労委 昭和53年(不)第1号
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申立人 |
X1 ほか 6名 |
申立人 |
日本労働組合総評議会全日本造船機械労働組合三菱重工支部下関造船分会 |
被申立人 |
三菱重工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和56年 3月31日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合分会員7名についての別組合との昇進昇給差別が争われた事件で、職群等級の是正、本給についての格差の是正及び差額の支払い、並びに昇進昇給差別による不利益取扱いと支配介入の禁止を命じたが、ポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、申立人分会員に対し、職群等級について、昭和52年5月1日付で下記記 載のとおり是正しなければならない。 (下記略) 2 被申立人会社は、申立人分会員に対し、本給について、昭和52年4月1日付で申立人分会 員X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6及び同X7ごとに、それぞれに対応する 重工労組支部員の平均本給月額に相当する額で是正しなければならない。なお、是正に当た り、既に実施中の申立人分会員の本給を不利益に変更してはならない。 3 被申立人会社は、前期1及び2により申立人分会員らが受けるべき賃金相当額と既に支給 した賃金との差額を支払わなければならない。 4 被申立人会社は、人事考課制度の査定を通じ、申立人分会員に対する職群等級の格付及び 本給の決定等において不利益に取扱い、分会の弱体化を企図するなどの支配介入をしてはな らない。 5 申立人のその余の申立は、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
申立人分会員と別組合員との格差の生じた合理的事由を積極的に立証しなかったこと等からみて、分会員に対する昇進給差別が、不当労働行為にあたるとされた例。
5121 挙証・採証
昇進昇給の差別是正を求める申立については、会社が考課査定及び賃金関係の具体的資料を所持していることから、申立人が具体的に主張することを求めるのは困難であり、昇進昇給格差の事実と差別を疑わせる不当労働行為事実の背景などの主張をすれば足り、労委規則32条2項3号の不当労働行為を構成する具体的事実の掲示がないから却下すべきであるとの会社の主張は認められないとされた例。
5121 挙証・採証
賃金格差の有無を判断するためには、査定の合理性を分会員と別組合員との比較のうえに立って立証すべきであり、会社制度では個人の能力等に応じて昇進・昇給を行っているので両組合所属の同期入社、同年齢の者を比較立証することは無意味であるとの会社の主張は認められないとされた例。
5201 継続する行為
本件昇進昇給差別事件の救済申立ては、現に存在している差別を将来に向って是正させるのみで、過去に遡らないことから、除斥時間外の行為に対する継続する行為の当否が問題となることはないとして、会社側の1年以前の行為を申立ての対象としているから却下すべきであるとする主張を斥けた例。
5200 除斥期間
申立人の求めるような2段階又は3段階の昇進是正を行うためには、会社の規則により本件申立の1年以上前に求める等級の1ランク下位の等級に昇進していることが必要であり、結局、請求内容は除斥時間外の行為をも対象とすることになるから却下すべきであるとの会社主張について、労委は、不当労働行為救済制度の趣旨にのっとり是正措置を命ずるのであって、社員規則に拘束されるいわれはなく、会社主張は認められないとされた例。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集69集360頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1981年8 月1 日 365 号 102 頁 
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