労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  紀伊国屋書店 
事件番号  北海道地労委 昭和52年(不)第19号 
北海道地労委 昭和52年(不)第21号 
申立人  紀伊国屋書店労働組合札幌支部 
申立人  札幌地区中小企業労働組合連合会 
被申立人  株式会社 紀伊国屋書店 
被申立人  株式会社 紀伊国屋書店札幌店 
命令年月日  昭和56年 3月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  男子執行委員1名の遠隔地への配転及び女子執行委員1名の新規店舗への配転並びに昭和53年定期昇給における組合員の低査定差別が争われた事件で、配転命令の取消と原職復帰、定期昇給額の是正との差額相当額の支払い、配転等による支配介入の禁止及び文書手交を命じたが、ポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社紀伊国屋書店は、申立人紀伊国屋書店労働組合札幌支部の組合員X1に 対する大阪営業所への配置転換命令を取り消し、同人を原職に復帰させなければならない。
2 被申立人は、申立人紀伊国屋書店労働組合札幌支部の組合員X2に対する厚別店への配置 転換命令を取り消し、同人を原職に復帰させなければならない。
3 被申立人は、昭和53年4月に実施した申立人紀伊国屋書店労働組合札幌支部組合員の定期 昇給額を、各組合員ごとに、少なくとも当該組合員と入社年次を同じくする被申立人株式会 社紀伊国屋書店札幌店の社員(当該組合員を除く。)の平均額を下回らないように是正し、 その差額相当額を支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人の組合員の組合活動を嫌悪して、これを配置転換したり、定期昇給の 考課査定について組合員外の者と差別するなどして、申立人の組合運営に支配介入してはな らない。
5 被申立人株式会社紀伊国屋書店は、下記1の文書を、被申立人株式会社紀伊国屋書店札幌 店は、下記2の文書を、それぞれ2通作成し、命令書交付の日から5日以内に、各申立人に それぞれ1通を手交しなければならない。
                     記1
                  陳  謝  文
  当社が、貴組合員のX1を札幌店から大阪営業所に、及びX2を札幌店から厚別店にそれ ぞれ配置転換したこと並びに昭和53年の定期昇給について紀伊国屋書店労働組合札幌支部組 合員を差別したことは、北海道地方労働委員会で不当労働行為と認定されました。
  ここに深く陳謝し、今後はこのような行為を繰り返さないことを誓います。 
                             昭和   年  月  日
   紀伊国屋書店労働組合札幌支部
    執行委員長 X3 殿
   札幌地区中小企業労働組合連合会
    執行委員長 X4 殿
                        株式会社紀伊国屋書店
                         取締役社長 Y1
                      記2
                   陳  謝  文
  当店が、貴組合員のX2を当店から厚別店に配置転換したこと及び昭和53年の定期昇給に ついて紀伊国屋書店労働組合札幌支部組合員を差別したことは、北海道地方労働委員会で不 当労働行為と認定されました。 ここに深く陳謝し、今後はこのような行為を繰り返さない ことを誓います。
                              昭和  年  月  日
   紀伊国屋書店労働組合札幌支部
    執行委員長 X3 殿
   札幌地区中小企業労働組合連合会
    執行委員長 X4 殿
                           株式会社紀伊国屋書店札幌店
                            店長 Y2
6 申立人のその余の救済申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
定期昇給について、申立人支部組合員を低く査定し非組合員と差別したことに合理的理由がないこと等から、1号及び3号の不当労働行為にあたるとされた例。

1300 転勤・配転
1603 組合活動上の不利益
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
執行委員に対する遠隔地への配転が、行うべき事前協議もなく行われ、配転先には組合員がいないこと等からみて、1号及び3号の不当労働行為にあたるとされた例。

1300 転勤・配転
1603 組合活動上の不利益
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
女子執行委員に対する新規店舗への配転が、組合員を分散する意図の下になされた不当労働行為とされた例。

4820 単一組織の支部・分会等
単一組織の下部組織としての支部が、本部とは別個に独自の規約を制定し、決議機関、執行機関をも有してることから、申立人適格があるとされた例。

4823 上部団体
上部団体は、さん下組合の組合員に対する不当労働行為について当然利害関係を有しており、申立人適格があるとされた例。

4905 経営補助者
支店長は、所轄従業員の配転及び人事考課について実質的な決定権限を有しており、労組法上の使用者として被申立人適格があるとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集69集328頁 
評釈等情報  労働判例 1981年7 月1 日 363 号 65頁 

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