労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本アイ・ビー・エム 
事件番号  愛知地労委 昭和48年(不)第14号 
申立人  X1 
申立人  X2 
申立人  X3 
被申立人  日本アイ・ビー・エム 株式会社 
命令年月日  昭和56年 3月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  昭和46年4月1日以降における申立人3名の昇進差別が争われた事件で、48年1月1日付又は49年12月1日付でのスタッフ管理者職位への昇進及びバック・ペイ、給与のレンジ(職位ごとの昇給幅)の文書呈示、申立人らに対する文書手交を命じ、46年4月1日付昇進については除斥期間徒過として申立てを却下し、組合に対するポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 
命令主文  1  被申立人は、申立人X1を昭和48年1月1日付でDP業務スペシャリストに、同X2を昭 和49年12月1日付でDP業務スペシャリストに相当する管理者職位に昇進させ、昇進に伴い 支払うべき賃金額と支払済賃金額との差額を、両名に支払わなければならない。
  なお、昇進に伴い支払うべき賃金額は支払済賃金額を下回ってはならない。
2  被申立人は、申立人X3を昭和48年1月1日付でアドバイザリー・システムズ・エンジニ アに昇進させ、昇進に伴い支払うべき賃金額と支払済賃金額との差額を、同人に支払わなけ ればならない。
  なお、昇進に伴い支払うべき賃金額は支払済賃金額を下回ってはならない。
3  被申立人は、上記措置の実施と併せて、申立人らに対する支払済賃金額と適用されていた 給与レンジ及び昇進に伴い支払われるべき賃金額と適用されるべき給与レンジを明らかにす る文書を、速やかに申立人らに呈示しなければならない。
4  被申立人は、申立人らに対し下記文書を本命令書交付の日から1週間以内に手交しなけれ ばならない。
                      記
  当社が、貴殿らを管理者職位に昇進させなかったことは、労働組合法第7条第1号に該当 する不当労働行為であると愛知県地方労働委員会によって認定されました。今後、このよう な行為を繰り返さないことを誓約します。
                              昭和  年  月  日
   X1、X2、X3 様
                        日本アイ・ビー・エム株式会社
                         代表取締役 Y1
5  申立人らの昭和46年4月1日付の昇進を求める申立ては、これを却下し、その余の申立て は、これを棄却する。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
昇進基準を充たしていないとして申立人3名を管理者職位に昇進させなかったことが、同人らの組合活動を嫌悪したことに因る不当労働行為とされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
救済申立後8年を経た段階で昇進が行われたので、申立人らの被救済利益がなくなったとの会社主張が斥けられた例。

4413 給与上の不利益の場合
管理者職位への昇進の救済として、実質的な人事権を有するライン管理者への昇進を命ずることは相当でないがライン管理者の補佐代行者で賃金上の格付けあるいは処遇上の待遇であるスタッフ管理者への昇進を命ずることはできるものと解されるとされた例。

4614 文書手交のみを命じた例
個人申立てであることから、組合に対する謝罪文の掲示は必要なく、申立て個人への文書手交で足りるとされた例。

4811 労組法7条3号(個人申立)の場合
組合の当事者適格の有無にかかわらず個々の組合員は救済申立適格を有し、また、申立人が組合役員でその組合活動においていわゆる経費援助を受けていたとしても申立適格を喪失するものではないとされた例。

5004 管理職への登用の請求
管理職への昇進は使用者のいわゆる経営権に属し、昇進差別救済申立ては違法である旨の会社主張が斥けられた例。

5124 その他の審査手続
救済申立以後の訂正申立書等は、申立趣旨を明確化したものであり、これらにより当初の申立てが取下げられたとの会社主張が斥けられた例。

5121 挙証・採証
本件救済申立てにおいて、申立人らが審査・救済の対象としようとする会社の昇進措置行為について、何ら主張していないとの会社主張が斥けられた例。

5201 継続する行為
昇進は1回限りの行為であるが、本件昇進措置における具体的な個々の昇進は昇進決定行為に基づいた履行行為とみるべきであり、従って決定行為と履行行為は密接不可分の「継続する行為」とみるべきであるから、決定行為(47年4月)に基づく具体的な昇進が終了した昭和48年1月から1年以内になされた申立て(48年8月14日)は、昇進の決定行為を含め適法に審査の対象になるとされた例。

5200 除斥期間
昇進又は不昇進はその都度独立して行われ、かつそれ自体で完結する1回限りのものであり、行為の日から1年以上経過している昭和46年4月1日付の昇進を求める申立て(48年8月14日)は、却下を免れないとされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集69集264頁 
評釈等情報   

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