労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  宮川運送 
事件番号  京都地労委 昭和53年(不)第9号 
申立人  全日本運輸一般労働組合京都地域支部 
被申立人  宮川運送 株式会社 
命令年月日  昭和56年 2月18日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社回答・団交場所等に固執した実質的団交拒否、労使協定の一方的破棄通告とそれに伴う各種便宜供与の拒否、分会員3名の組合活動に対する賃金カット、社宅居住組合員に対する飲料水の無償供給の停止が争われた事件で、誠意ある団交応諾、協定破棄通告がなかったものとしての取扱い、分会員3名の欠勤扱いの取り消し及び賃金カット分の支払い、社宅水道料金の負担並びにポスト・ノーティスを命じ、退職者1名の賃金カットについては申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人の申入れに係る団体交渉事項である(1)協定破棄問題、(2)昭和52年度 年末一時金問題、(3)昭和53年度春闘要求問題、(4)一連の処分問題、(5)水道問題、(6)昭和5 3年度夏季一時金問題を解決するために申立人との団体交渉に誠意をもって応じなければなら ない。
2 被申立人は、申立人に対し、昭和52年11月19日付協定破棄通知がなかったものとして取り 扱い、かつ、次の事項について、協定破棄以前と同様の取扱いをしなければならない。
 (1)社宅内食堂の一時使用 (2)電話の呼出し (3)ピンク電話の使用 (4)複写機の使用
3 被申立人は、X1に対してなした昭和53年2月8日の欠勤扱いを取り消し、同日分の賃金 を支払わなければならない。
  被申立人は、X2及びX3に対してなした昭和53年2月9日の欠勤扱いを取り消し、同日 分の賃金を支払わなければならない。
4 被申立人は、被申立人会社社宅居住者に対して京都市水道局が会社社宅において同人らに 供給する水道の料金を支払うとともに宮川運送分会及び同社宅居住者がすでに京都市水道局 に支払った水道料金を、同分会及び同社宅居住者に対して償還しなければならない。
5 被申立人は、下記内容の文書を縦1m×横1.5mの模造紙に墨書し、会社正門前の従業員の 見易い場所に10日間掲示しなければならない。
                      記
  会社は、貴組合の申し入れる団体交渉に対し、日時、場所を変更したり、団体交渉中に一 方的に退席したり、十分な資料の提供や説明をしないまま、当初の回答に固執したりして誠 意をもって団体交渉に応じなかったこと、昭和52年10月 7日成立の協定を一方的に破棄し、 以後同協定に規定された諸事項を履行しなかったこと及び昭和53年 4月以降社宅に対する地 下水の給水を打ち切り都市水道に切り替えたうえ、水道料金を不払いにしたことはいずれも 不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
  以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。
                             昭和   年  月  日
   全日本運輸一般労働組合京都地域支部
    執行委員長 X4 殿
                           宮川運送株式会社
                            代表取締役 Y1
6 申立人のその余の請求を棄却する。 
判定の要旨  2244 特定条件の固執
いったん出した回答を一切変更しなかったり、使用時間に制限のある団交場所に固執したり、組合側交渉員の発言を奇貨として退席するなどしたことが実質的な団交拒否にあたるとされた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
分会員3名の組合活動に対して、協定による賃金保証は経費援助に該当することになるとして、賃金カットしたことが不当労働行為であるとされた例。

2305 労働協約との関係
3103 労働協約締結をめぐる行為
就業時間中の組合活動の賃金保証等を認めた協定内容が経費援助に該当するとして、協定全部について一方的に破棄通告したことが、職場内組合活動の抑制ひいては組合弱体化の手段としてなされた支配介入であると同時に不利益取扱いにも該当するとされた例。

1602 精神・生活上の不利益
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
社宅に対し飲料水を無償で供与するという労使慣行を一方的に変更し、地下水供給を中止して都市水道に切り替え、その料金を各人に負担させたのは、組合活動の拠点となっている社宅居住の組合員に対する嫌がらせであり、不当労働行為にあたるとされた例。

5201 継続する行為
労使協定破棄行為は、申立時より遡って一年を僅かに超えてなされているが、協定破棄及びそれ以降の各種の便宜供与拒否等は、組合弱体化を図るという目的を持った一連の行為として密接・不可分の関係にあり、「継続する行為」と見られるとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合活動に伴う賃金カット分の返還に関し、退職者に係る分については組合の被救済利益がないとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集69集131頁 
評釈等情報  労働法律旬報 1981年5 月25日 1024号 48頁 
労働経済判例速報 昭和56年7 月20日 1088号 19頁 

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約1250KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。