事件名 |
熊沢製油産業 |
事件番号 |
三重地労委 昭和52年(不)第1号
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申立人 |
総評化学同盟熊沢製油支部 |
被申立人 |
熊沢製油産業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年 9月20日 |
命令区分 |
棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、昭和47年から同53年における賃上げ及び夏期・冬期各一時金の支給に関し、別組合員に比し考課査定を低く査定したとして、遅延損害金、慰籍料等の各支払い及び賃金台帳の公開を求めた事件で、本件申立中、昭和47年ないし昭和50年並びに昭和52年における賃上げ、夏期・冬期一時金に関しては、期間徒過として却下し、昭和51年及び53年における同問題に関しては不当労働行為にあたらず、また賃金台帳の公開を求める部分は理由がないとして棄却した。 |
命令主文 |
1. 申立人の本件申立中、昭和47年ないし昭和50年、昭和52年における賃上げ、夏期・冬期各一時金の考課査定に関し、差額金、遅延損害金、慰藉料の各支払い、誓約書の交付及び謝罪文の掲示・掲載を求める部分は、これを却下する。 2. 申立人のその余の申立は、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
3106 その他の行為
会社の賃金台帳は一般に従業員各人の承諾なく公開すべきものでなく、そのうえ、(1)各人の賃上額及び一時金の額については、定額部分、基本給・家族手当各スライド部分及び体系調整部分は各人が賃金公開されなくても計算でき、それから逆算すれば人事考課額も算出できること、(2)人事考課に関し、苦情処理制度を設け、査定に疑義が生じた場合には、職制や労務課にて説明が得られること、(3)賃上げ、一時金の支払い方法については、その都度公認会計士の監査を受け、その証明書を発行することによって人事考課の総額等は確認できること等から、公開を拒否しているものであり、これには合理的な理由があるから、賃金台帳の公開を求める申立ては棄却を免れない。
1201 支払い遅延・給付差別
5005 損害賠償の請求
賃上げ及び夏季・冬季一時金査定につき、別組合員との差別が認められないから、それを前提とする遅延損害金、慰藉料の支払い等を求める申立ては棄却を免れないとされた例。
5201 継続する行為
昭和47年ないし昭和50年並びに昭和52年における賃上げ及び夏季・冬季一時金の差別是正等の申立てにつき、「継続する行為」と認めず、申立時及び追加申立時において1年以上経過していたとして却下した例。
3106 その他の行為
申立人組合の賃金台帳公開申立てにつき、公開拒否に合理的な理由があることから棄却された例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集68集703頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 昭和56年 1月10日 1069号(32巻1号) 5頁
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