事件名 |
東洋酸素 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和52年(不)第13号
神奈川地労委 昭和52年(不)第22号
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申立人 |
X2 ほか3名 |
申立人 |
X1 ほか10名 |
被申立人 |
東洋酸素 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年12月27日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が組合支部の組合員14名について主任、係長等への格付け及び
基本賃金額の査定に関し他の従業員と差別取扱いをしたことが争われた事件で、申立人14名に対する格付及び基本賃金額の是正
(最大限申立前3年間遡及)並びに差額(年5分の割合による加算)の支給、今後における差別取扱いの禁止を命じ、救済部分よ
りさらに遡及しての是正申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人に対し、それぞれ次表記載の通りの格付け
及び基本賃金額に是正し、是正年月日以降同人らが受ける筈であった諸給与相当額との差額に、年5分の割合による金員を加算し
て同人らに支給しなければならない。但し、X3については、上記金員をX4に支給すること。
2. 被申立人は、今後申立人らに対して合成化学産業労働組合連合東洋酸素労働組合川崎支部の組合員であることの故をもっ
て、昇給及び昇格に当り、その余の従業員との間に差別をしてはならない。
3. 申立人らのその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
会社が人事考課の方法とその運用において内規に即した適正な運用を行っておらず、申立人らを低く査定した理由について明確で
はなく、また、労使事情の転機に当って申立人らの考課が低下している事情も認められることなどから考えると、申立人らについ
ての考課査定は、申立人らの組合活動を嫌悪する会社が長年にわたり申立人らの考課を低く査定して、昇給額を押さえ、申立人ら
を経済的にも精神的にも不利益取扱いすることにより、K支部の弱体化を意図してなされたものと認めざるをえない。
5201 継続する行為
定期及び臨時の昇給決定行為は、それぞれ毎年1回、その都度労使間の協定、及び当該年度の考課に基づいて行なわれたもので
あって、各年度ごとに上積みされる昇給の決定要件はそれぞれ異なるのであるから、一貫した不当労働行為意図のもとに同じ態様
の差別行為が毎年くり返されたということ及びその差別の結果が毎年累積していくということが認められるとしても、申立人らに
対して毎年行なわれた昇給決定行為を「継続する行為」とすることはできない。昇格について略々その論旨を同じくするが、昇格
については過去3年間の考課が2級以上であることが必要とされており、昇格しなかったのは3年間の低査定行為の結果であるか
ら、3回の考課査定行為と不昇格決定行為は一体不可分の関係にあり、「継続する行為」に該当する。
1202 考課査定による差別
長年にわたり申立人らの考課を低く査定して、昇給額を押さえたことが、支部の弱体化を意図してなされた不当労働行為であると
された例。
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立人らを主任以上に昇格させなかった会社の措置が、同人らを不利益に取り扱い、ひいては支部の弱体化を企図した不当労働行
為にあたるとされた例。
4838 申立ての承継
審査中に死亡した申立人X3については、賃金額の是正のみに止め、その賃金差額を承継人である妻に支給することとされた例。
4418 継続する行為を認めた例
5201 継続する行為
申立人らに対して毎年行なわれた昇給決定行為は「継続する行為」ではないが、不昇格決定行為とそれ以前の3年間の考課査定行
為は一体不可分の関係にあり、「継続する行為」にあたるとされた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集68集570頁 |
評釈等情報 |
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