概要情報
事件名 |
タムラ化研 |
事件番号 |
埼玉地労委 昭和53年(不)第2号
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申立人 |
総評全国一般労働組合埼玉地方本部 |
申立人 |
総評全国一般労働組合埼玉地方本部タムラ化研支部 |
被申立人 |
タムラ化研 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年12月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
職制による組合脱退勧奨、支部執行委員長に対する派遣先での業務の継続命令、生産性向上への協力の合意がないことを理由とする夏期奨励金の不払い、組合の資格証明の質問に対する未回答等を理由とする団交拒否、一時金及び昇給額の支給遅延等が争われた事件で、支配介入の禁止、支部執行委員長に対する派遣業務の継続命令の取消し及び原職復帰、執行委員長ら7名に対する夏期奨励金の支払い及びポスト・ノーティスを命じ、「職場を守る会」による組合及び幹部に対する非難、中傷等による支配介入の禁止については棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人支部組合員に対し、課長、係長らをして、談話、説得などにより、申立人支部からの脱退を慫慂するなどして申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2. 被申立人は、申立人支部執行委員長X1に対する昭和53年4月21日付けの安全電具株式会社(東京都武蔵村山市)における派遣業務の継続命令を取り消し、同人を被申立人会社研究所における原職又は原職相当職に復帰させなければならない。 3. 被申立人は、申立人支部組合員X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7に対し、昭和53年の夏期奨励金として別紙一覧表記載の奨励金の金額から別途計算した勤怠減額を差し引いた金額を、昭和54年夏期奨励金として各金20,000円を速やかにそれぞれ支払わなければならない。 4. 被申立人は、本命令書交付の日から一週間以内に、縦 100センチメートル× 150センチメートルの大きさの白紙に、下記の内容を楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の従業員食堂の見やすい場所に10日間(被申立人会社の休日を除く。)掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 総評全国一般労働組合埼玉地方本部 執行委員長 X8 殿 総評全国一般労働組合タムラ化研支部 執行委員長 X1 殿 タムラ化研株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、不当労働行為であると、埼玉県地方労働委員会で認定されましたので、貴組合に対し遺憾の意を表し、今後、再びこのような行為を繰り返さないことを約束します。 記 (1) 課長・係長らをして談話、説得などにより、支部組合員に対し組合からの脱退を慫慂させ、また組合に対し集団的に脱退届を提出させたこと。 (2) 支部執行委員長X1に対し、昭和53年 4月21日付けをもって、安全電具株式会社における派遣業務の継続を命令したこと、並びに会社内への立入禁止を通告したこと。 (3) 支部組合員X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7の7名に対し、昭和53年及び同54年夏期奨励金を支給しなかったこと。 (4) 組合の団体交渉の申入れに対し、交渉期日を引き延ばしたり、組合の要求に対し書面により一括回答をなし、かつ、これを固執し、誠意ある交渉に努めなかったこと。 (5) 昭和53年の賃金昇給額及び同年の夏期一時金につき、支部組合員に対し他の従業員よりも支給を遅らせたこと。 以上、埼玉県地方労働委員会の命令によって、掲示します。 (年 月 日は掲示の日を記載すること) 5. 被申立人は、前各項の命令を履行したときは、速やかに当委員会に文書でその旨を報告しなければならない。 6. 申立人らのその余の申立てを棄却する。 別紙一覧表
氏 名 基準内賃金(A) 奨励金(A×0.2)
X1 149,500円 29,900円 X2 110,000 22,000 X3 113,000 22,600 X4 98,500 19,700 X5 107,000 21,400 X6 126,500 25,300 X7 102,500 20,500 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和53年、54年の夏期奨励金の支給に関し、会社が生産性向上及び合理化についての協力を前提とすることに固執したため、妥結に至らず、結果的に組合員に奨励金が支給されない状態をもたらしたことは、組合員に対する不利益扱いであり、支部の弱体化を企図した1号・3号の不当労働行為である。
1301 出向
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
支部執行委員長X1に対し派遣先A社での派遣継続を命じたことにつき、当該派遣先での業務先での業務継続をさせることに合理性がなく、また、組合の結成及びX1の支部執行委員長の就任、その後の団交拒否等の一連の経緯を考慮すれば、X1に対する派遣継続命令は、支部執行委員長の職にあるX1を組合員と隔離し、同人との連絡を困難ならしめ、支部の弱体化を企図した不当労働行為と認定せざるを得ない。
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
生産性向上への協力等に関し同意をしない支部の組合員に対する奨励金の不払いが不当労働行為であるとされた例。
1301 出向
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
支部執行委員長に対する派遣先A社での業務継続命令が不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
課長ら職制による組合脱退勧奨の言動等の行為が会社の意志に基づく行為と目される不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3411 その他の従業員の言動
職制を中心として設立された「職場を守る会」の設立趣旨、基本方針の記載のうちに、組合の方針を非難攻撃するが如き表現がみられたとしても、これをもって、従業員に対する不当な心理的圧力若しくは利益誘導があったものとは、直ちに結論づけることはできないとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昇給額と一時金の支給遅延につき、会社の団交の引延ばしと拒否の結果によるものであり、不当労働行為にあたるとされた例。
3102 争議対抗手段
交渉事項について既に協定書を作成しているので団交拒否には当らないが、正当な理由なく団交を引き延ばしたり、誠意をもって協議しないなどの不誠実な態度は、支部の弱体化を企図した支配介入であるとされた例。
4820 単一組織の支部・分会等
地本及び支部は、その所属している組合員の団結権に加えられた侵害行為に対し、それぞれ不当労働行為救済申立てができるとされた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集68集540頁 |
評釈等情報 |
 
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