労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  宮原酸素店 
事件番号  長野地労委 昭和55年(不)第3号 
申立人  総評全国一般労働組合長野地方本部 
被申立人  合資会社 宮原酸素店 
命令年月日  昭和55年12月18日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合結成直後において組合員3名に対し配転を命じたり、会社職制が組合員X1に対し仕事を取り上げるなどといった発言をしたり、組合員X2に対し脱退を慫慂したり、組合員であるチャーター(自動車持込み運転手)に対し運賃引上げ分を支給しなかったり、チャーターの社員化について誠実に交渉をしなかったり、賃上げについて非組合員に対するものよりも低い額しか回答しなかったりしたことが争われた事件で、支配介入の禁止、チャーターに対する運賃引上げ分の支払い、社員化に関する誠意団交の実施、非組合員と同様な額での賃上げの実施、差額支払い、誓約書の手交及びポスト・ノーティスを命じ、組合員X3に係る賃金の不利益取扱いについては棄却した。 
命令主文  1. 被申立人は、申立人組合員に対して、業務上の必要性がないにもかかわらず転勤を命じたり、申立人からの脱退を慫慂したり、仕事を取り上げるなどのいやがらせをして、申立人の運営に支配介入してはならない。
2. 被申立人は、申立人との間で締結した昭和54年12月21日付協定第2項に基づき、申立人組合員X4及び同X5に対して昭和55年2月分以降の運賃を、同X2に対して昭和55年3月分以降の運賃を、それぞれ10,000円引き上げ、この引き上げによって生じた差額を支払わなければならない。
3. 被申立人は、申立人との間で締結した昭和54年12月21日付協定第3項の趣旨に従い、チャーターを従業員にすることについて、申立人と誠意をもって団体交渉を行わなければならない。
4. 被申立人は、申立人組合員X6、同X7及び同X1に対して、昭和55年4月分以降の賃金について、それぞれ 8,000円を下回らない額で賃上げを行い、昭和55年4月分以降の賃金及び一時金について、この賃上げによって生じた差額を支払わなければならない。
5. 被申立人は、下記の誓約書を申立人に手交するとともに、同文を縦1メートル、横 1.5メートルの白色木板に楷書で明瞭に墨書して、被申立人本社正面付近の従業員の見やすい場所に、7日間(ただし、被申立人の休業日を除く。)掲示しなければならない。
              記
           誓  約  書
 当社が行った下記の行為は、長野県地方労働委員会により、不当労働行為であると認定されました。当社は、今後このような行為を繰り返さないことを、長野県地方労働委員会の命令により誓約いたします。
              記
1. 貴組合員に対して、業務上の必要性がないにもかかわらず転勤を命じたり、貴組合からの脱退を慫慂したり、仕事を取り上げるなどのいやがらせをしたこと。
2. 貴組合員に対して、10,000円の運賃引上げ分を支払わなかったこと。
3. チャーターを従業員にすることについて、貴組合と誠意をもって団体交渉を行わなかったこと。
4. 昭和55年春季賃上げにおいて、貴組合員を他の従業員と差別し、不利益に取り扱ったこと。
   昭和 年 月 日
  総評全国一般労働組合長野地方本部
   執行委員長  X8 殿
  総評全国一般労働組合長野地方本部宮原酸素分会
   執行委員長  X6 殿
             合資会社 宮原酸素店
              代表社員 Y1
6. 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
組合に対し非組合員に対する賃上げ額よりも低い賃上げ額回答に固執したことが、分会結成直後の組合否認の態度からして不当労働行為とされた例。

1300 転勤・配転
分会結成直後の組合員3名に対する遠隔地への転勤命令(後日撤回)が、業務上の必要性も認められず分会の壊滅を企図した不当労働行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
チャーター(自動車持込み運転手)である組合員に対し運賃引上げ分を支給しなかったことが、合理的な理由がなく不当労働行為とされた例。

2244 特定条件の固執
チャーター(自動車持込み運転手)の社員化について協議するとの協定がありながら、会社は青ナンバー化の方針に固執し実質的な団交を行わなかったことが不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
分会結成直後に総務課長が組合員X1を責任者から外し、同人から仕事を取り上げる旨発言したことが、組合の弱体化を企図した不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
所長が組合員X2に対して組合からの脱退を条件に処遇改善することを示唆して、脱退を慫慂したことが組合の弱体化を意図した不当労働行為とされた例。

5008 その他
チャーター(自動車持込み運転手)に対する運賃引上げ分の不支給は、私法上の債権債務の問題で不当労働行為とは関係ないとの会社側主張に対し、それが不当労働行為の意図によるものか否かを判断するのが労委であり、会社の主張は失当であるとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集68集489頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約501KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。