労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本濾水機工業 
事件番号  神奈川地労委 昭和54年(不)第31号 
申立人  X1 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合日本濾水機工業支部 
被申立人  日本濾水機工業 株式会社 
命令年月日  昭和55年 9月30日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合委員長の個人的借財等私生活上の問題について会社が調査したり、それを理由に同人及び同人妻を懲戒解雇したり(後に撤回)、団交において会社が委員長を無視したこと等が争われた事件で、支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、委員長個人の不利益取扱い及び団結権侵害の救済としての金員の支払いについては申立てを棄却した。 
命令主文  1. 被申立人は、申立人X1の私生活上の問題等を理由にX1委員長及び同人妻を懲戒処分にしたり、申立人X1が委員長をしている組合の言い分は聞けない等主張し、団体交渉において委員長無視の態度をとるなど、申立人組合の運営に支配・介入してはならない。
2. 被申立人は、本命令受領の日から5日以内に下記の文書を縦 1.5メートル、横3メートルの白色木板に楷書で墨書し、被申立人の本社、工場及び技術研究所のそれぞれ正面入口の従業員の見やすいところに、2週間掲示しなければならない。
            陳  謝  文
 当社は、婦人労働者の身分問題に関する労使交渉継続中に、貴組合委員長X1の私生活上の問題を興信所に依頼して調査し、その結果判明した事実等をもとにして「個人の生活が乱れているものが委員長をしている組合の言い分は聞けない。」などと主張し、団体交渉において委員長無視の態度をとり、さらに昭和54年6月4日にはX1夫妻に対して、論旨退職の通告をしました。
 以上の当社の行為は、今般神奈川県地方労働委員会により、X1委員長に対する組合員の信頼を失墜させ、組合員に動揺と混乱を与え、組合組織の弱体化を企図した不当労働行為であると認定されました。
 よって、ここに深く陳謝するとともに、今後かかる不当労働行為をしないことを誓います。
  昭和 年 月 日
            日本濾水機工業株式会社
             代表取締役 Y1
 総評全国一般労働組合神奈川地方連合
 日本濾水機工業支部
  執行委員長 X1  殿
3. 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2621 個別的示唆・説得・非難等
2901 組合無視
委員長X1の借財問題等私生活に関する事実を調査し、その結果を組合との事務折衝に提示し、また団交において委員長無視の態度をとるなどした会社の一連の行為が支配介入とされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
私生活上の借財問題等を理由とする委員長及び同人妻の懲戒処分は、組合と委員長を嫌悪し組合組織の弱体化を企図した不当労働行為といえるが、委員長個人に対する不利益取扱いの禁止を求める救済部分については、既に処分が撤回され被救済利益はないので棄却を免れないとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
委員長に対する懲戒処分が撤回されても、同処分をめぐる一連の会社の行為によって組合が蒙った団結権侵害はなお償われてはおらず、被救済利益は未だ存在しているとされた例。

4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
団結権侵害の救済として金員の支払いを求める申立てにつき、支配介入の禁止及びポスト・ノーティスの命令で足りるとされ棄却された例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集68集327頁 
評釈等情報   

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