労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東京プレス工業 
事件番号  神奈川地労委 昭和54年(不)第22号 
神奈川地労委 昭和54年(不)第25号 
申立人  X1 
被申立人  東京プレス工業 株式会社 
命令年月日  昭和55年 9月30日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  中央委員会の委員であり同会の議長にもなっているX1を配置転換し、結果的に中央委員会等の地位を失わせたこと及び労委への申立てに関し同人の名誉を毀損するような社内報を工場従業員に配布したこと等が争われた事件で、配置命令の取消し、元の職場への復帰及びポスト・ノーティスを命じ、「X2君を支援する会」と申立人等との関連について会社が調査することの禁止を求めた申立てについては棄却した。 
命令主文  1. 被申立人は、申立人に対し、昭和54年1月15日付で命じた配置転換命令を取り消し、申立人を元の職場である工務課に復帰させなければならない。
2. 被申立人は、本命令受領の日より5日以内に、縦1メートル横2メートルの白色木板に鮮明に下記事項を墨書して、被申立人会社相模原工場正門付近の従業員の見やすい場所に1週間続けて掲示しなければならない。
              記
 当社は、貴殿に対し昭和54年1月15日付で組立課への配置転換を命じ中央委員の資格を喪失させたこと及び当社が昭和54年6月7日付で発行した東プレニュース 3において、貴殿に仕事上のミスが度々あり、得意先に迷惑をかけ、社内を混乱させ及び工長になれなかったことを不満として、不当労働行為の救済申立てをしたなどと記載して、これを従業員に配布したことは、いずれも労働組合法に違反する不当労働行為である旨、神奈川県地方労働委員会により認定されました。
 当社は、このような不当労働行為に及んだことを深く反省し、貴殿を元の職場である工務課に復帰させ、上記文書の記載に関しここに陳謝するとともに、今後再びこのような行為をしないことを誓約いたします。
    昭和 年 月 日
            東京プレス工業株式会社
             代表取締役 Y1
  X1 殿
3. 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 
判定の要旨  3200 不当労働行為とされた例
申立人の配転の不当労働行為の成否について労委の判断に委ねられていた時期に、会社が全従業員向発行したニュースの中で、申立人の業務上のミスを指摘するなど名誉毀損になりかねない事実を記載し、申立人に精神的苦痛を与え、労委への申立てそのものを非難するが如き行為に出たのは、弁明権の範囲を逸脱するもので、7条4号にいう労委に申立てをしたことを理由とする不利益取扱いに該当する。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、申立人が配転により中央委員の地位を失ったとしても、本件審理中に配転先の職場で再び中央委員の地位を得ており、その時点において旧職場への復帰を求める救済利益が喪われたと主張するが、申立人に対する本件配転の不当労働行為を判断するについては、本件申立時点における組合員としての地位につき考慮するのが相当と思料するので、会社の主張は採用しえない。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
中央委の職場選出委員でその議長にもなっている申立人X1を会社が不用意に配転させ、結果として中央委員及び同議長の地位を失わせ、組合リーダーとしての活動の機会を喪失せしめる苦痛を与えたことは、不利益取扱い及び組合活動介入の不当労働行為であるとされた例。

3106 その他の行為
組合執行部の批判を含んだ「X2君を支援する会」のビラ配布を契機に、会社が申立人等について同会との関連を質したのに対し、そのこと自体不当労働行為であり、会社の調査の禁止を求めた申立人の請求が、組合活動との関連が不明確であるとして棄却された例。

3200 不当労働行為とされた例
本件救済申立て後、会社が申立人の労委への申立てを非難するが如きニュースを全従業員に発行したことが7条4号にいう不利益取扱いとされた例。

3800 行為の結果・その他
申立外組合自体が、申立人の配転が不当労働行為でないとの見解をとっていたとしても申立人に対する配転の不当労働行為性が否定されるわけではないとされた例。

3900 「不利益の範囲」
労委への救済申立てを非難するが如きニュースを全従業員に発行したことが、申立人の業務上のミスを指摘するなど同人に精神的苦痛を与えたことが、法7条4号に該当する精神的苦痛による不利益取扱いであるとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
申立人が配転先の職場で再び中央委員の地位を得ていたとしても、本件申立ての時点において、置かれていた組合員としての地位につき考慮するのが相当であり、旧職場への復帰を求める救済利益があるとされた例。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集68集318頁 
評釈等情報   

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