概要情報
事件名 |
大阪亜鉛鍍金 外3名 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和50年(不)第79号
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申立人 |
総評全国金属労働組合大阪亜鉛支部 |
被申立人 |
関東亜鉛鍍金 株式会社 |
被申立人 |
大阪亜鉛鍍金 株式会社 |
被申立人 |
知多工業 株式会社 ほか3社 |
命令年月日 |
昭和55年 9月20日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
経営難と資金不足に陥った会社が、協定に反して事前協議をせずに更生手続開始申立てを行ったこと、賃金及び一時金が未払いとなっていること、更生計画案認可後も一時金交渉の再開に応じなかったこと、一時金要求に対する課長の言動等が争われた事件で、かつ、当該会社と関連の深い3社も共同してそれらに対処すべきであるとして申し立てられた。4社共同しての団交応諾及び文書手交(協定無視、課長の言動、団交再開拒否)を命じ、賃金等の支払い、管財人に対する申立て、経営の中心をなす個人Y1に対する申立て等については棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人大阪亜鉛鍍金株式会社、同関東亜鉛鍍金株式会社、同知多工業株式会社及び同横浜ガルバー株式会社は、共同して、昭和51年及び昭和52年の夏季一時金問題について速やかに申立人と団体交渉を開催しなければならない。 2. 被申立人大阪亜鉛鍍金株式会社は、下記の文書を、速やかに申立人に手交しなければならない。 記 年 月 日 申立人代表者あて 大阪亜鉛鍍金株式会社 代表者名 当社は下記の行為を行いましが、これらの行為は労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 記 (1) 更生手続開始申立てに関して、貴組合に対し事前に協議を行わなかったこと。 (2) 貴組合の昭和50年夏季一時金の職場討議に介入したこと。 (3) 昭和51年及び昭和52年の夏季一時金問題について団体交渉を拒否したこと。 3. 申立人の被申立人大阪亜鉛鍍金株式会社、同関東亜鉛鍍金株式会社、同知多工業株式会社及び同横浜ガルバー株式会社に対するその他の申立ては、これを棄却する。 4. 申立人の被申立人更生会社大阪亜鉛鍍金株式会社管財人児玉憲夫に対する申立ては、これを棄却する。 5. 申立人の被申立人Y2に対する申立ては、これを却下する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
賃金及び一時金の未払いは、会社の経営難及び資金不足によるものであり、不当労働行為意思によるものではないとされた例。
2400 その他
会社更生計画案認可後も一時金交渉を再開せず、団交に応じないことが不当労働行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y3課長が一時金要求に関する執行部案を否決に導こうとして部下になした言動が、その職務上の地位から会社の行為であり、不当労働行為であるとされた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
労働条件に影響を及ぼす事項に関する事前協議の協定があるにもかかわらず、会社が更生手続き開始申立てを一方的に行ったことは、組合の弱体化を企図した不当労働行為であるとされた例。
3105 事業廃止、工場移転・売却
更生手続開始申立ては会社の経営難及び資金不足によるものであり、組合弱体化をねらったものではないとされた例。
4505 その他
4916 企業に影響力を持つ者
一時金の団交において、O亜鉛及びK亜鉛等3社は、その実質においては一つの企業体とみるのが相当であり、O亜鉛が使用者として不当労働行為の責任を負う場合には、K亜鉛等3社も共同して団交に応じなければならないとされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
K亜鉛等3社はO亜鉛と法形式上別企業であっても、その実質は一つの企業体とみられるから被申立人適格を有するとされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
被申立人各4社が実質においてY2が経営する個人会社であるとは認められないから、同人は被申立人適格を有しないとされた例。
4913 破産管財人
会社の更生計画案を認可した後、地裁が「会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利」を会社の取締役に付与したので、管財人は団交等を行う資格も権限も有しないとして、管財人に対する申立てを棄却した例。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集68集296頁 |
評釈等情報 |
 
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