労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  相模湖自動車教習所 
事件番号  神奈川地労委 昭和54年(不)第27号 
申立人  全自交神奈川相模湖自動車教習所支部 
申立人  全国自動車交通労働組合総連合会神奈川地方自動車交通労働組合 
被申立人  株式会社 相模湖自動車教習所 
命令年月日  昭和55年 9月12日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、申立人組合の賃上げ要求に対して、別組合との妥結額を期限つきで押しつけ、団交要求を拒否したこと、組合の残業反対・時短要求運動を理由に組合員X1を送迎用バス乗務から外したことなどが争われた事件で、団交の再開と誠意ある交渉の実施、交渉妥結に至るまでの間の賃上げの仮払い(別組合との妥結額に等しい金額を別組合との妥結月に遡及)、X1を送迎用バス乗務につかせ、それまでの間の残業手当差額の支払い、組合に対する運営介入言動の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、申立組合との36協定の締結、損害金の支払いについては申立てを棄却した。 
命令主文  1. 被申立人相模湖自動車教習所は昭和54年春闘について申立人組合全国自動車交通労働組合連合会神奈川地方労働組合、同相模湖自動車教習所支部との間に団体交渉を再開し誠意をもって交渉を行わねばならない。
2. 被申立人は、上記妥結に至までの間、申立人組合の組合員に対し、別組合相模湖自動車教習所労働組合との妥結額に等しい金額を別組合との妥結月にさかのぼり、年率5分の加算をつけて仮りに支払わねばならない。
3. 被申立人は、申立人組合の組合員X1を同人の希望に応じ直ちに送迎用バス乗務につかせなければならない。
4. 被申立人は、X1に対し、昭和54年 1月以降送迎用バス乗務から外した期間について、同期間における別組合所属組合員の同バス乗務者の残業手当の平均を下回わらない金額を年5分の加算をつけて支払わねばならない。
5. 被申立人は、申立人組合の運営に介入する言動を行ってはならない。
6. 被申立人は、本命令交付の日から5日以内に下記の誓約書を申立人神自交、同支部に手交し、かつ、縦1メートル以上、横2メートル以上の白色木板に明瞭に墨書して、被申立人会社の教習所入口の従業員の見やすい場所に毀損することなく20日間掲示しなければならない。
         誓  約  書
 当教習所が貴組合および支部に対して誠意ある団体交渉を行わず、組合員を送迎用バス輸送乗務から外して大巾減収を余儀なくさせ、さらに神自交は真の組合でないとか、神自交からの脱退や組合幹部の交代を強要するような言動を行ったことは、神奈川県地方労働委員会から、労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 よって当教習所は貴組合および支部に対して深く陳謝の意を表すると共に、今後再びかかる行為を繰り返さないことを固く御約束いたします。   昭和55年 月 日
  全国自動車交通労働組合総連合会
  神奈川地方自動車交通労働組合
   中央執行
   委員長  X2 殿
 全自交神奈川相模湖自動車教習所支部
  支部長 X3 殿
            株式会社相模湖自動車教習所
             代表取締役 Y1
7. 申立人組合のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  2246 併存団体との関係
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
企業内に複数の組合が併存する場合、多数組合が要求を提出するまでは少数組合に有額回答をしがたく、また多数組合との妥結結果を動かしがたいことは、ある程度否めないが、少数組合といえども労働組合として使用者と自由に団交を行い協約を締結する権利を持っている。会社は、両組合に対して公平に団交の機会を与え、できるだけ同じ時期に妥結するよう最大の努力を払うのが筋である。しかるところ、会社は、多数組合と先に交渉して賃上げ額を決定し、少数組合にはそれを通知・説明するだけで最終回答として受諾を迫るのは、賃金決定から少数組合を排除したことにほかならず、これらの会社の態度は組合を嫌悪し、誠実団交をつくさず、別組合と差別することによって組合の弱体化をはかった不当労働行為である。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合が残業や長時間勤務に反対しているとの理由で組合員X1を送迎用バス乗務から外したことが、不利益取扱いであり組合弱体化をはかった不当労働行為であるとされた例。

2246 併存団体との関係
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
多数組合と先に交渉し賃上げ額を決定し、少数組合にはその結果を通知・説明するだけで最終回答として受諾を迫るのは、不誠実団交であり、差別行為であるとされた例。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
組合が長時間労働の改善を要求したことを理由に会社側が36協定締結更新をしなかったことに、兵糧攻めであるとして36協定の締結をも求めたのに対し、その後従業員の過半数を代表する別組合と協定締結したので、改めて締結を命ずる必要がないとされた例。

4422 その他
4603 その他
組合及び組合員X1が会社の不利益取扱い等により多大の損害を受けたとして損害金の支払いを求めた申立てが棄却された例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集68集271頁 
評釈等情報   

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