概要情報
事件名 |
東洋シート |
事件番号 |
広島地労委 昭和54年(不)第10号
広島地労委 昭和54年(不)第13号
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申立人 |
総評全国金属労働組合広島地方本部東洋シート支部 |
被申立人 |
株式会社 東洋シート |
命令年月日 |
昭和55年 8月29日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
課長による上部団体からの脱退慫慂、はち巻き・腕章着用闘争等に対する警告及びチェック・オフした組合費等の引き渡し拒否が争われた事件で、脱退慫慂の禁止、はち巻き・腕章着用闘争等に対する警告の禁止、チェック・オフした組合費相当額の引き渡し及びポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人に所属する組合員に対して脱退をしょうようしてはならない。 2. 被申立人は、申立人の組織が存在しないとして、申立人に所属する組合員のはち巻き・腕章着用闘争、ストライキ及び申立人に関連のある会議等への出席に対して、懲戒処分の対象になるなど警告してはならない。 3. 被申立人は、申立人に係る組合費及び闘争積立金のチェック・オフについて、次の措置を講じなければならない。 (1) 昭和54年4月分より本命令書交付の日までの間、申立人に所属する組合員の賃金からチェック・オフした金員相当額を、本命令書交付後10日以内に申立人に引き渡さなければならない。但し、昭和54年4月分より同年9月分までの金額は、別紙のとおりとする。 (2) 本命令書交付の日以降は、昭和54年 4月までに行っていたと同様に、申立人に所属する組合員の賃金からチェック・オフし、申立人に引き渡さなければならない。 4. 被申立人は、本命令書交付の日から1週間以内に、下記の文言を縦1メートル、横 1.5メートルの木板に墨書し、肩書地の本社工場の正門の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 なお、年月日の記載は、掲示の初日とすること。 記 昭和 年 月 日 総評全国金属労働組合広島地方本部 東洋シート支部 執行委員長 X1 殿 株式会社東洋シート 代表取締役 Y1 会社は、広島県地方労働委員会の命令により、会社の次の行為は不当労働行為に当たると認定されたので、今後かかる行為はいたしません。 1 1. 全金東洋シート支部の組合員に対し、同支部から脱退するようしょうようしたこと。 2. 全金東洋シート支部が存在しないという理由で、同支部の活動を妨害したこと。 |
判定の要旨 |
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
支部が分裂し、新労から会社に対し今までの上部団体から脱退した旨の通知がなされた後、新労との間の確認書により、会社が支部のために行ってきたチェック・オフをやめ、新労のためのチェック・オフを始め、支部からのチェック・オフに係る申入れに応ぜず、支部組合員に係る既チェック・オフ分の引渡しをしないのは、支部に経済的打撃を与えようとする不当労働行為である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
課長の発言が上部団体脱退を慫慂したものであり、不当労働行為であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合分裂の中で新労のためのチェック・オフに切り替え、従来の支部に属する組合員の賃金からチェック・オフした金員をも新労に渡し、支部に引き渡さなかったことが支配介入であるとされた例。
3106 その他の行為
組合員のはち巻き・腕章着用闘争等に対し、それが懲戒処分の対象となるとして警告をしたことが不当労働行為になるとされた例。
4603 その他
支部組合員の賃金からチェック・オフした金員相当額を命令書交付後10日以内に申立人に引き渡すことを命じるのが適当とされた例。
4820 単一組織の支部・分会等
支部は、組合分裂後も地本の指示により組織を建て直し、その支部としての形態を整え、会社にも通知しており、当事者適格がないとする会社の主張は認められないとされた例。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集68集237頁 |
評釈等情報 |
 
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