概要情報
事件名 |
安藤運輸 |
事件番号 |
東京地労委 昭和50年(不)第90号
東京地労委 昭和50年(不)第116号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合東京地方本部東部地域支部 |
申立人 |
全日本運輸一般労働組合東京地方本部 |
申立人 |
X1 ほか1名 |
被申立人 |
安藤運輸 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年 8月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
作業長による組合脱退工作、分会宛郵便物及び電話の取次拒否、組合員に対する新設食堂の利用の拒否、組合会議の盗聴、組合員X1の作業長への任用の拒否及び組合員X2の作業長の職からの外しが争われた事件で、組合脱退勧奨、分会への加入妨害、第二食堂利用妨害等による支配介入の禁止、組合員X1の作業長への任命、作業長手当相当額の支払い及びポスト・ノーティスを命じ、既に解決した郵便物及び電話の取次ぎ並びにX2の作業長職復帰については棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人安藤運輸株式会社は、(1)作業長をして、申立人全日本運輸一般労働組合東京地方本部および同全日本運輸一般労働組合東京地方本部東部地域支部傘下の申立外全日本運輸一般労働組合東京地方本部東部地域支部安藤運輸分会の組合員に対し、同分会からの脱退を勧奨させたり、従業員の同分会への加入を妨害させたり、(2)組合員による第二食堂の利用を妨げ、組合員と非組合員とを隔離するなどの方法によって、組合の運営に支配介入してはならない。 2. 被申立人会社は、申立人X1を、昭和50年6月10日付で作業長に任命するとともに、同年6月分以降の作業長手当相当額を支払わなければならない。 3. 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社正門の見易い場所に、10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 全日本運輸一般労働組合東京地方本部 執行委員長 X3 殿 全日本運輸一般労働組合東京地方本部東部地域支部 執行委員長 X4 殿 安藤運輸株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合傘下の安藤運輸分会および同分会の組合員に対して行なった下記の行為は、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後は、かかる行為を繰り返さないよう留意します。 記 (1) 当社の作業長をして安藤運輸分会からの脱退を勧奨させ、また、従業員の同分会への加入を妨害させたこと。 (2) 組合員による第二食堂の利用を妨げ、組合員と非組合員とを隔離したこと。 (3) X1氏を、昭和50年6月10日付で作業長に任命しなかったこと。 (注、年月日は掲示した日を記載すること) 4. 被申立人会社は、上記2項および3項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 5. その余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
組合員X1を作業長に任命しなかったことが申立人組合に所属するが故になされた不当労働行為とされた例。
1200 降格・不昇格
組合員X2を作業長の職から外したことが差別待遇にあたるとの組合の主張が斥けられた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
作業長Y2の組合員X5に対する「組合を脱退すれば社長も面倒をみてくれるだろう」等の言動が単に私的な意見表明とは認められず不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
作業長Y2の組合員X6に対する「組合をやめたら金を貸してやる」等の言動が利益誘導による組合脱退を勧奨した不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
作業長Y2の組合員X7に対する「組合に入らない方がよい」等の言動が組合加入妨害の不当労働行為とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
分会宛郵便物の取次ぎ拒否が組合活動妨害の不当労働行為とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
分会宛電話の取次ぎ拒否が組合活動妨害の不当労働行為とされた例。
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X2を作業長の職から外したことが組合に対する支配介入にあたるとの組合の主張が斥けられた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
別に食堂を新設し非組合員が利用する時間帯に組合員の利用を拒否したことが組合の組織拡大を封じようとした支配介入とされた例。
3100 スパイ
組合会議を警備員に「盗聴」させたことが組合に対する支配介入にあたるとの組合主張が斥けられた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
社長に次ぐ地位にある作業長Y2の言動が、実質的に会社の利益を代表するものの行為とされた例。
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
作業長Y2の組合員X5に対する組合結成直後の言動が不当労働行為とされた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
分会宛郵便物及び電話の取次ぎ拒否につき、既に改められているのでその是正を命じないとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集68集226頁 |
評釈等情報 |
 
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