労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  サンリオ 
事件番号  東京地労委 昭和54年(不)第33号 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方本部南部支部サンリオ分会 
被申立人  株式会社 サンリオ 
命令年月日  昭和55年 8月 5日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  組合結成直後の時期に組合に加入した編集契約者4名との契約を解除したこと、同人らとは雇用関係がないとして団交を拒否したことが争われた事件で、バックペイ等を含め契約解除をしなかったと同様の状態への回復、団交拒否の禁止、文書手交を命じた。 
命令主文  1. 被申立人株式会社サンリオは、次の措置を含め、申立人総評全国一般労働組合東京地方本部南部支部サンリオ分会所属の組合員X1に対し、昭和53年9月29日以降、同X2に対し、同年9月30日以降、同X3に対し、同年10月7日以降、同X4に対し、同年10月15日以降、それぞれ契約解除をしなかったと同様の状態に回復させなければならない。
(1) 被申立人会社出版部の編集業務に携わらせること。
(2) 従前の契約条件を下回らないこと。
(3) 契約解除の翌日から、契約解除以前の状態に復するまでの間、同人等に支払われるはずであった金員を支払うこと。
2. 被申立人会社は、申立人分会が昭和53年10月17日付で、また申立人分会と申立外総評全国一般労働組合東京地方本部および同南部支部が昭和53年11月25日付でそれぞれ申し入れた、「(1)出版部アシスタント・エディターの月額最低賃金保障(15万円)について、(2)その他」を課題とする団体交渉を、申立人分会所属の組合員は、被申立人会社の社員ではなく、雇用関係がないとの理由で拒否してはならない。
3. 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記のとおり記載した文書を申立人組合に手交しなければならない。
           記
                  昭和 年 月 日
総評全国一般労働組合東京地方本部南部支部サンリオ分会
 分会長 X1 殿
             株式会社 サンリオ
              取締役社長 Y1
 当社が、昭和53年9月から10月にかけて、貴分会の組合員X1氏等4名を契約解除したことおよび貴分会の申し入れた昭和53年10月17日付団体交渉申入書などの団体交渉を、貴分会の組合員は当社の社員ではなく、雇用関係がないとして拒否したことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後は、かかる行為を繰り返さないよう留意します。(注、年月日は手交の日を記載すること。) 
判定の要旨  4825 その他
4900 請負・委任・派遣契約
会社と編集契約者4名との関係をみるに、同人等は勤務時間・場所は拘束されない建前にはなっているものの、会社の指示を受けて業務を進めていること、編集業務以外の業務にも従事していること、勤務上の拘束を受け、他社の仕事は事実上不可能であること、会社の収入で生活を維持していることなどからすれば、単なる請負契約とは認め難く、実質的には社員と同様、会社の指揮監督に服し労務提供している会社の「雇用する労働者」とみるのが相当である。

1106 契約更新拒否
組合結成直後、信頼関係が損われたことを理由に編集契約者との契約を解除したことが不当労働行為とされた例。

2112 雇用する従業員不存在
2130 雇用主でないことを理由
編集契約者との間には雇用関係がないとして、団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。

4407 バックペイの支払い方法
契約解除の救済として、契約解除時点まで受けた金員と各人の編集に関与した期間から算出した個人別の月額平均をもって、バックペイを命ずるのが相当であるとされた例。

4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
団交要求事項中、編集契約者4名の契約解除の撤回については、本件命令主文で作為を命じたので、その部分を除いて団交応諾を命じた例。

4825 その他
4900 請負・委任・派遣契約
編集業務の契約者について、単なる請負契約ではなく、「雇用する労働者」とみるのが相当であるとして申立人適格が認められた例。

業種・規模  その他の製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集68集192頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和55年 9月30日 1060号(31巻27号) 11頁 

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