概要情報
事件名 |
昭和無線工業 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和53年(不)第38号
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申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方本部 |
被申立人 |
昭和無線工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年 7月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合員に対する賃上げ等の考課査定差別、社内預金廃止時期の組合間差別、新会社設立による業務の外注化及び組合脱退等を条件とする新会社への入社勧誘等が争われた事件で、考課査定のやり直しによる賃金差別の是正・差額(年5分相当額の加算を含む)の支払い、外注化問題等に関する労使協議、職制による組合脱退工作の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、モデル賃金表の明示を求めた救済申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人会社は、昭和53年度賃上時に、申立人組合の組合員に対して行った考課をB考課以上に是正し、かつ、賃金を是正し、昭和53年 4月以降実際に支給した賃金との差額に年5分相当額を加算した金員を支払わなければならない。 2. 被申立人会社は、昭和53年度夏季一時金について、申立人組合の組合員に対して行った考課を1で是正した考課と同じ考課に是正し、実際に支給した一時金との差額に年5分相当額を加算した金員を支払わなければならない。 3. 被申立人会社は、成形金型業務の外注化問題及び成形金型部門に所属していた組合員の処遇について、申立人組合と協議しなければならない。 4. 被申立人会社は、その職制を介して申立人組合の組合員の組合脱退工作をしてはならない。 5. 被申立人会社は、本命令交付後1週間以内に、下記文言を縦横各1メートルの白色木板に鮮明に墨書して、被申立人会社の本社及び神奈川分工場の見やすい場所にむこう1か月間毀損することなく掲示しなければならない。 誓 約 書 当社は、貴組合所属の組合員の昭和53年の賃金及び同年夏季一時金の考課を平均より下のB’又はCとしまた成形金型業務の廃止、外注化を一方的に行ないましたが、これらは、いずれも、神奈川県地方労働委員会により労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認定されました。よって、今後かかる行為を一切しないことを誓約します。 昭和 年 月 日 総評全国一般労働組合神奈川地方本部 執行委員長 X1 殿 昭和無線工業株式会社 代表取締役社長 Y1 6. その余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
賃上げの考課において組合員全員を平均以下に査定したことが不当労働行為とされた例。
1202 考課査定による差別
夏季一時金の考課において、組合員に対する同年春の賃上げの低査定をそのまま適用したことが不当労働行為とされた例。
2900 非組合員の優遇
2901 組合無視
賃上げの考課において組合員全員を平均以下に査定したことが不当労働行為とされた例。
2900 非組合員の優遇
2901 組合無視
夏季一時金の考課において、組合員に対する同年春の賃上げの低査定をそのまま適用したことが不当労働行為とされた例。
2900 非組合員の優遇
2901 組合無視
社内預金廃止の時期につき、別労組と若干の差異があるが、申立組合を差別的に扱った不当労働行為とは認められないとされた例。
3106 その他の行為
会社課長が設立した新会社への業務の外注化及び組合員に対する組合脱退・退社を条件とした新会社への入社勧誘が支配介入とされた例。
3106 その他の行為
3410 職制上の地位にある者の言動
前会社の特定部門の業務を一手に受注するために新会社を設立した前会社の課長が、前会社在職中に当該部門の組合員に対して行った組合脱退等を条件とした新会社入社勧誘行為が、前会社の意を受け、その利益のために行った支配介入行為であるとされた例。
4422 その他
賃上げ・一時金の組合間差別において、別組合に提示のモデル賃金表は既に周知のものであることから改めて申立人組合に明示の必要はないとされた例。
4602 組合との協議を命じた例
業務の一方的な外注化による支配介入に関する救済方法として、組合と外注化問題について協議するよう命じた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集68集149頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 昭和55年10月25日 1009.1010号 118頁 
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