労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  サイバネット工業 
事件番号  神奈川地労委 昭和54年(不)第14号 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合サイバネット工業支部 
被申立人  サイバネット工業 株式会社 
命令年月日  昭和55年 7月22日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  ストによる不就労を一般の欠勤と同様の取扱いにして休業手当を減額支給したり、休業中のトイレ・食堂の使用を拒否したことが争われた事件で、スト日数を所定就労日数から控除して休業手当を再計算し、それに年5分の割合による金員を含む差額相当額を支払うこと及び会社施設使用拒否等による支配介入の禁止、ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1. 被申立人会社は、申立人組合の組合員に対して、昭和54年3月5日から同月15日まで玉川作業所を休業した際、同所勤務の組合員に支払った休業手当を、所定就労日数から組合員それぞれのスト日数を控除して再計算し、その結果生じた額と既に支払った額の差額に年5分相当額を加算して支払わなければならない。
2. 被申立人会社は、申立人組合が提出した玉川作業所の食堂その他の施設の使用の届出を休業中であることを理由に拒否することによって申立人組合の運営に支配介入してはならない。
3. 被申立人会社は、本命令受領の日から5日以内に下記文言を縦1メートル横2メートルの白色木板に楷書で明瞭に墨書し、被申立人会社の本社及び玉川作業所の各正面入口の見やすい場所に毀損することなく10日間掲示しなければならない。
           誓  約  書
 当社が昭和54年3月5日から同月15日の間玉川作業所を休業した際、貴組合から申出のあった食堂その他の施設の使用を拒否したこと及び休業期間中の休業手当の算定にあたり過去のストライキによる不就労を一般の欠勤などと同様に扱って計算したためストライキ参加者の額が少なくなったことは、今般神奈川県地方労働委員会により労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、ここに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
   昭和 年 月 日
総評全国一般労働組合神奈川地方連合サイバネット工業支部
 執行委員長 X1 殿
           サイバネット工業株式会社
            代表取締役社 Y1 
判定の要旨  1203 その他給与決定上の取扱い
1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
休業手当の算出は、過去3ヵ月の総賃金を同期間の所定就労日数により除す方法によりなされるが、本件においては、ストに対応する日数を所定就労日数から控除することなく、総賃金の方からは賃金カット分を控除して計算している。これによれば、ストを行っていれば、通常の場合に較べ平均賃金は低くなる。スト権の行使が明らかに不当なものであると認められる場合であれば格別、特段不当とする理由を見出しえない本件においては、このようなやり方は正当な組合活動を行った者に対する不利益取扱いであり、かつ組合の弱体化を意図した支配介入と認めざるを得ない。

1203 その他給与決定上の取扱い
ストによる不就労を一般の欠勤と同様の取扱いとして、休業手当を減額支給したことが不当労働行為とされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
休業に抗議するため会社前に集まってきた組合員に対し、休業中であることを理由にトイレ・食堂の使用を拒否したことが不当労働行為とされた例。

2901 組合無視
ストによる不就労を一般の欠勤と同様の取扱いとして、休業手当を減額支給したことが支配介入とされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集68集111頁 
評釈等情報   

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