概要情報
事件名 |
浜本染料 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和53年(不)第69号
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申立人 |
総評全国一般大阪地連全浜本労働組合 |
被申立人 |
浜本化学工業 株式会社 |
被申立人 |
浜本貿易 株式会社 |
被申立人 |
浜本染料 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年 6月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
社長ら役職者による組合脱退・組合員の解雇示唆・委員長非難等の発言、組合名称の変更強要、社長の海外出張等を理由とする団交拒否、夏期一時金支給につき非組合員との差別扱い等が争われた事件で、被申立人3社に対して、委員長の夏期一時金是正(年5分相当額加算)及び各種不当労働行為に関する文書手交を命じ、組合名称の変更強要に関する将来にわたる禁止、団交の開催、組合脱退者17名の夏期一時金のバックペイ、社員旅行中止に伴う費用分還付差別扱いについては申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人浜本染料株式会社、浜本化学工業株式会社及び浜本貿易株式会社は、申立人組合員X1に対して、昭和53年夏期一時金の是正として、88,000円(昭和53年6月25日より完済に至るまで年5分を加算すること)を支払わなければならない。 2 被申立人3社は、連名して申立人組合に対して、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 申立人代表者あて 浜本染料株式会社 代 表 者 名 浜本化学工業株式会社 代 表 者 名 浜本貿易株式会社 代 表 者 名 浜本染料株式会社が行いました下記の言動及び行為は、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。 記 (1) 昭和53年5月16日代表取締役Y1が、貴組合員X2氏を呼び出し組合脱退を求める等の発言を行ったこと。 (2) 昭和53年5月19日代表取締役Y1が、貴組合員X1氏に対して貴組合の弔電を非難する発言を行ったこと。 (3) 昭和53年5月20日代表取締役Y1が、電話で貴組合を非難する等の発言を行ったこと。 (4) 昭和53年5月21日代表取締役Y1が、貴組合員に対して組合解散を迫る等の発言を行ったこと。 (5) 昭和53年5月16日及び同年6月20日取締役Y2が、貴組合員X3氏及び同X4氏に対して組合員の解雇を示唆する等の発言を行ったこと。 (6) 昭和53年6月23日泉佐野営業所次長X2が、貴組合員X3氏を呼び出し組合脱退を求める等の発言を行ったこと。 (7) 代表取締役Y1及び取締役Y3が、貴組合の名称変更を強要したこと。 (8) 昭和53年6月から7月にかけて、正当な理由なく貴組合との団交を拒否したこと。 (9) 昭和53年夏期一時金の支給に際し、貴組合員を差別的に取り扱ったこと。 3 申立人組合のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
4833 組織の消滅(含1人組合となった場合)
本件審問終結時の組合構成員は委員長のみであるが、組合員が1名にまで減少したのは主として会社の支配介入によること、組合脱退者の一部については組合復帰の可能性があることから、現在組合員が1名のみという形式的事実のみで組合が申立人適格を欠くというのは適切でない。
4916 企業に影響力を持つ者
関連会社2社は、役員、株式所有、取引関係、従業員の労働条件の決定等に関する事実からみて、H会社によって完全に支配されており、被申立人3社は事実上一体の企業であり被申立人適格を有する。
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
夏期一時金について勤評等による付加金を非組合員に比し低く支給したことにつき、合理的理由がなく不当労働行為とされた例。
2248 実質的権限のない交渉担当者
社長の海外出張、業務多忙等を理由とする団交拒否が不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長ら役職者による組合脱退勧奨、組合員の解雇示唆、委員長非難等の言動が不当労働行為とされた例。
3106 その他の行為
組合名称の変更を強要したことが組合運営に支配介入しようとした不当労働行為とされた例。
2900 非組合員の優遇
社員旅行中止に伴う費用分の還付につき、会社が非組合員と差別扱いしたとの組合主張が、その疎明がないとして斥けられた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合脱退者17名にかかる夏期一時金差別の是正(バックペイ)については被救済利益がないとされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
被申立人3社は事実上一体の企業であり、共同して不当労働行為の責任を負うべきであるとされた例。
4505 その他
団交拒否を不当労働行為として認めながら(文書手交命令)、本件申立以降審問終結時に至るまで20数回団交が行われていることから、改めて団交開催を命じる必要がないとされた例。
4614 文書手交のみを命じた例
組合名称の変更強要にかかる将来にわたる禁止申立てについて、誓約文の手交で足りるとされた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集67集603頁 |
評釈等情報 |
 
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