労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  郵政弘済会 
事件番号  北海道地労委 昭和54年(不)第10号 
北海道地労委 昭和54年(不)第13号 
申立人  郵政弘済会労働組合札幌支部 
申立人  郵政弘済会労働組合 
申立人  X1 
被申立人  財団法人 郵政弘済会 
被申立人  財団法人 郵政弘済会北海道地方本部 
命令年月日  昭和55年 5月 9日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  申立人X1を事務職から現業職に配転し、さらに配転命令に従わなかったことを理由に懲戒免職したこと、元組合支部長X2を施設課から中央売店に配転したこと、申立人X1のメーデー参加の特別休暇を取消し賃金カットしたこと、支部役員人事に介入したこと、器具備品等及び事務室の使用を拒否したことが争われた事件で、申立人X1の懲戒解雇処分及び配転命令の取消し、原職復帰、バックペイ、同人のメーデー参加の特別休暇の不承認扱いの取消し及び賃金相当額の支払い、元組合支部長X2の配転先の労働条件に係る誠意ある団交応諾、支部役員に対する配転・解雇などによる支配介入の禁止、陳謝文の手交を命じ、X2の配転、支部役員人事の支配介入、器具備品等及び事務室の使用拒否等については申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人らは、申立人X1に対する昭和54年6月5日付けの懲戒解雇処分及び同年4月1日付けの配置転換命令を取り消し、同人を原職に復帰させるとともに、同人に対し昭和54年5月2日から原職復帰に至るまでの間、同人が受けるべきであった賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人らは、申立人X1に対する昭和54年5月1日のメーデー参加の特別休暇の不承認扱いを取り消して、同人に対し同日の賃金相当額を支払わなければならない。
3 被申立人らは、昭和54年4月5日、申立人らが申し入れたX2の配置転換先の労働条件に係る団体交渉に速やかに誠意をもって応じなければならない。
4 被申立人らは、申立人組合の支部役員の組合活動を嫌悪して、これを配置転換したり、解雇するなどして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
5 被申立人らは、下記内容の陳謝文を3通作成し、命令書交付の日から5日以内に、各申立人にそれぞれ1通を手交しなければならない。
              記
           陳  謝  文
 郵政弘済会及び郵政弘済会北海道地方本部が、貴組合の組合員X1を北海道地方本部福祉課から札幌郵政会館に配置転換したこと及びこの配置転換に従わなかった同人を懲戒解雇処分に付したことは、北海道地方労働委員会で不当労働行為と認定されました。
 ここに深く陳謝し、今後はかかる行為を繰り返さないことを誓います。
   昭和 年 月 日(手交の年月日を記入すること。)
郵政弘済会労働組合
 中央執行委員長    X3 殿
郵政弘済会労働組合札幌支部
 支 部 長 代 行  X4 殿
            X1 殿
             財団法人郵政弘済会
               会長 Y1
         財団法人郵政弘済会北海道地方本部
              本部長 Y2
6 申立人らのその余の救済申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
元組合支部長を施設課から中央売店へ配転したことは、新職務は部下のいなかった従前の職種に比べ2名の部下の責任者として職員の指導、商品の管理等を行う立場にあり、客観的に比較して同人に不利益になるものとはいえず、同人の組合役員退任後の報復的措置の意図のもとになされた不利益取扱いとはいえない。

1102 業務命令違反
配転に応じず、元の職場に留まるなどの勤務態勢を理由とする申立人X1の懲戒免職につき、配転そのものが不当労働行為であり、配転拒否を理由に同人を職場から追放する意図でなされた不当労働行為とされた例。

1204 スト・カット
配転命令に従わず元の職場に留まるなどした申立人に係るメーデー参加の特別休暇を、配転後の職場には適用がないことを理由に後日不承認扱いとし賃金カットしたことにつき、配転が不当労働行為である以上それらも不当労働行為であるとされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立人X1に対する事務職から現業職への配転が不利益扱いであり、組合活動に支障を与える意図のもとになされた不当労働行為とされた例。

2300 賃金・労働時間
組合員X2の配転に不当労働行為意思があったとはいえないが、配転先の労働条件に関し団交を命じる実益があるとされた例。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
組合員X1及びX2の配転に係る団交応諾救済申立てにつき、X1については配転命令の取消し等により救済されることになるから、被救済利益がないとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
器具備品等及び事務室の使用拒否等が仮に支配介入にあたるとしても、その後従来どおり使用できるようになったのであるから救済の必要がないとされた例。

4614 文書手交のみを命じた例
陳謝文の掲示及び新聞掲載申立てが陳謝文の手交でたりるとされた例。

業種・規模  政治・経済・文化団体 
掲載文献  不当労働行為事件命令集67集454頁 
評釈等情報   

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