概要情報
事件名 |
日本航空 |
事件番号 |
沖縄地労委 昭和53年(不)第3号
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申立人 |
日本航空労働組合沖縄支部 |
申立人 |
日本航空労働組合 |
被申立人 |
日本航空 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年 3月28日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
支店のビル移転に際し、別組合には組合事務所を貸与し申立人組合支部には貸与を拒否した事件で、別組合と差別することなく組合事務所を貸与すること及び誓約文の社内報への掲載を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人日本航空株式会社は、申立人日本航空労働組合沖縄支部に対して、全日本航空労働組合沖縄支部と差別することなく、組合事務所を貸与しなければならない。 貸与の具体的条件については、申立人らと被申立人の間で実情にそった取決めをしなければならない。 2 被申立人は、本命令書受領の日以降に発行する直近の社内報「おおぞら」に1回下記と同一の内容を掲載しなければならない。 記 昭和 年 月 日 日本航空労働組合 中央執行委員長 X1 殿 日本航空労働組合沖縄支部 支 部 委 員 長 X2 殿 日本航空株式会社 代表取締役社長 Y1 貴組合沖縄支部組合事務所の貸与を拒否したことは、不当労働行為であると沖縄県地方労働委員会において認定されました。今後かかることをくりかえさないようにいたします。 (注.年月日は、掲載した日を記載すること。) |
判定の要旨 |
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
支店のビル移転に伴う組合事務所の貸与については、団交による合意がなされていること、貸与の労使慣行が存在していたこと、別組合には従前の倍の事務所を貸与しながらスペースがないという主張には理由がないこと、移転前後において組合員数に変更がないのに、申立人組合の組合員数に固執して貸与を拒否したことに合理的一貫性を欠くことから、貸与拒否は支店の移転を奇貨として支部組合事務所を失わせ、組合組織を弱体化する意図のもとになされた不当労働行為である。
5124 その他の審査手続
労委は将来の正常な労使関係の形成を目的として、支部組合事務所の使用権の存否といった当事者の私法上の権利義務関係の存否とは別に、事実としての組合事務所貸与における組合間差別といった使用者の行為について不当労働行為か否か判断するものであり、組合事務所の使用権の存否に関し民事訴訟として別に争われているからといって、労委への申立てが不法となるものではない。
4617 その他
組合事務所貸与拒否の救済として、別組合と不当に差別することなく組合事務所の貸与を命ずるのが相当とされた例。
5131 管轄
組合間差別の救済申立てが本部組合を管轄するT労委になされ、重ねて本労委に申し立てられても、支部組合事務所の貸与拒否の背景事実としてそれを主張するにとどまると解されるから、組合間差別だけを切り離して管轄権の有無を論ずる必要はないとされた例。
5121 挙証・採証
別組合との差別禁止の申立ては、組合事務所貸与拒否に係る請求の背景としてなされたものと考えられるから、貸与拒否の不当労働行為性の判断資料として認定すれば足りるとされた例。
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業種・規模 |
航空運輸業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集67集386頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1980年6月25日 1002号 61頁 
労働経済判例速報 昭和55年6月10日 1049号(31巻16号) 10頁 
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