概要情報
事件名 |
日野車体工業 |
事件番号 |
石川地労委 昭和52年(不)第6号
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申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部日野車体工業支部 |
申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部 |
被申立人 |
日野車体工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年 3月15日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
昭和49年度から52年度までの賃金引上げにおける考課査定を別組合員と差別した事件で、49年度以降52年度までの考課査定の是正、これに伴う各年度の賃金額修正及びバックペイ、履行状況の文書報告及び組合に対する是正結果等の通知、賃金引上げの考課査定差別による支配介入の禁止を命じ、謝罪文の手交と工場内掲示については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人支部組合員に対して、昭和49年度以降昭和52年度までの各賃金引上げにおける考課査定について、それぞれの組合員の既査定額を下回ることなく、かつ、支部組合員の考課査定配分率の平均が昭和49年度、昭和50年度及び昭和51年度においては各27.2パーセント、昭和52年度においては18.1パーセントとなるよう、すみやかに是正しなければならない。 2 被申立人は、前記に基づく是正により変更を生じた各年度における支部組合員の全ての賃金の額を逐次修正するとともに、既に支払われた金員との差額を同人らに対してすみやかに支払わなければならない。 3 被申立人は、前項の差額支払いに併せて、その履行状況を当委員会に文書をもって報告するとともに、申立人支部組合に対して是正結果及び差額内容の明細を通知しなければならない。 4 被申立人は、申立人支部組合員に対して、支部組合に所属することを理由として賃金引上げの考課査定について他の従業員と差別することにより組合の運営に支配介入してはならない。 5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和49年度から52年度までにおける賃金引上げの考課査定について、別組合員との間の外形的差別は明白で、その査定結果の妥当性は疑わしく、また、第一次査定者は組合員と敵対関係にある別組合の発起人若しくはその組合役員であり、公正で客観的な評価を期待するのは極めて困難で、むしろ会社は不当な差別を是認したものであり、組合員に対する考課査定は、組合活動を理由とする不利益取扱いであり組合の弱体化を図った不当労働行為である。
5200 除斥期間
昭和49・50・51年度の組合員の昇給査定差別による組合員個々の賃金が確定し支給されたのは、昭和51年11月28日であり、この日が労組法27条2項にいう行為の日と判断されるから、翌年11月28日になされた本件申立ては除斥期間を徒過しているとはいえない。
4413 給与上の不利益の場合
考課査定差別の救済として、組合分裂直前の単年度の組合員の平均査定率を査定差別がなされた各年度に適用することが相当とされた例。
4422 その他
考課査定差別の救済として、昭和49年度より52年度の基本給是正による一時金その他の諸給与のバックペイ及び履行状況報告並びに組合に対する是正結果等の明細通知を命じた例。
4416 将来にわたる不作為を命じた例
考課査定の集団的差別の救済として、今後再びこの種の事件が発生することのないよう査定差別による支配介入の禁止を命じた例。
4614 文書手交のみを命じた例
謝罪文の手交と工場内掲示についての申立てが、考課査定の是正等で足りるとして棄却された例。
4823 上部団体
上部団体である地本の申立人適格が認められた例。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集67集317頁 |
評釈等情報 |
 
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