概要情報
事件名 |
日本アイ・ビー・エム |
事件番号 |
東京地労委 昭和48年(不)第91号
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申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部 |
申立人 |
X1ほか22名 |
被申立人 |
日本アイ・ビー・エム 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年 3月 4日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
申立人23名の組合員の身分(職位)及び昇給を非組合員と差別したことが争われた事件で、申立人15名を各々管理者職位に昇進させること、申立人4名を各々非管理者職位系列内の上位職位に昇進させること、これらの昇進措置に伴う賃金改定及び昇格・職能手当の是正とバックペイ、文書手交及び履行後の文書報告を命じ、申立人4名に対する昇進是正、ポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人日本アイ・ビー・エム株式会社は、下記申立人らに対し、次のような措置を講じなければならない。 (1) 申立人X1を昭和51年1月1日付で売掛管理スペシャリストもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (2) 申立人X2を昭和49年12月1日付で、主任営業部員もしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (3) 申立人X3を昭和50年2月1日付で、アカウンティング・スペシャリストもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (4) 申立人X4を昭和49年12月1日付で、トレード・スペシャリストもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (5) 申立人X5を昭和52年12月1日付で総務スペシャリストもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (6) 申立人X6を昭和49年12月1日付で、コミュニケーション・スペシャリストもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (7) 申立人X7を昭和51年2月1日付でスタッフ・エンジニアもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (8) 申立人X8を昭和50年12月1日付で、アドバイザリー・システムズ・エンジニアもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (9) 申立人X9を昭和49年12月1日付で、アドバイザリー・システムズ・エンジニアもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (10) 申立人X10を昭和49年12月1日付で、アドバイザリー・システムズ・エンジニアもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (11) 申立人X11を昭和50年10月15日付で、アドバイザリー・システムズ・エンジニアもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (12) 申立人X12を昭和49年12月1日付で、スタッフ・エンジニアもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (13) 申立人X13を昭和53年5月1日付で、テクニカル・アシスタント又はスタッフ・アシスタントもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (14) X14を昭和53年5月1日付でテクニカル・アシスタント又はスタッフ・アシスタントもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 (15) X15を昭和53年1月1日付で売掛管理スペシャリストもしくは同相当の管理者職位に昇進させること。 2 被申立人会社は、下記申立人らに対し、次のような措置を講じなければならない。 (1) 申立人X5を昭和50年12月1日付で文書管理非管理者職位系列の最高職位に昇進させること。 (2) 申立人X16を昭和51年2月1日付でコンピューティング・サービス企画管理係もしくは同相当職位に昇進させること。 (3) 申立人X17を昭和51年10月1日付でコンピューティング・サービス企画管理係もしくは同相当職位に昇進させること。 (4) 申立人X18を昭和55年1月1日付でコンピューティング・サービス企画管理係もしくは同相当職位に昇進させること。 3 被申立人会社は、上記1及び2の申立人らに対する職位の昇進措置を講じたことに伴い、その賃金改訂(昇給)ならびに職能格および職能手当の是正措置(昇格と職能手当の増額)を実施するとともに、右実施に伴い支給されるはずの諸給与相当分(昇進に伴う昇給額、職能格の昇格に伴う職能手当の増額および一時金など)とすでに支給された諸給与との差額を支払わなければならない。またこれを実施するに当っては、上記1および2の申立人ら各人に対し、昇進後の職位に適用さるべき「給与レンジ」を呈示するとともに該当昇給額ならびに昇進後の職能格および職能手当を通知しなければならない。 4 被申立人会社は、本命令書受領の日から一週間以内に下記内容の文書を、上記1および2の申立人各人宛に手交しなければならない。 記 昭和 年 月 日 殿 日本アイ・ビー・エム株式会社 代表取締役 Y1 当会社が貴殿を□□□□□□の職位もしくは同相当職位に昇進させなかったことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注) (1) 発信の年月日は、手交の日を記載すること。 (2) 職位名は、上記主文の1および2の各申立人について記載した事項を記載すること。 5 被申立人会社は、前各項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 6 その余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
4811 労組法7条3号(個人申立)の場合
4823 上部団体
上部組合は、支部組合員のための救済申立てをなし得るもので、申立外支部が財政面において会社から経費援助を受けていたとしても上部組合の申立人資格が否定されるいわれはない。また個々の支部組合員も所属組合の資格にかかわりなく個人申立てができることは法の明定するところであり、その場合組合員が所属組合のいかなる地位にあったかは問題ではない。
5004 管理職への登用の請求
昇進等差別是正として、昇進・昇給その他の人事についてかなりの権限を有しているファースト・ラインにおけるライン管理者以上の地位にある管理者職位への昇進を命ずるのは相当でないが、ファースト・ライン管理者を補佐し、その実体は一般の従業員とさほど変らないスタッフ管理者職位ないし相当職位までの昇進を命ずるのは差支えないと思料する。
1200 降格・不昇格
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立人23名の昇進・昇給遅延につき、適正な人事考課であると首肯するに足る疎明がなく、組合切り崩し工作などの会社態度からみて不当労働行為とされた例。
4415 賃金是正を命じた例
昇進差別の是正として、実体的に一般従業員と変りないスタッフ管理者職位への昇進にとどめ、また、スタッフ管理者への昇進が不適当と認められる者の場合でも、昇進が不当に遅らされていると認められる限り、非管理者職位系列内での上位職位への昇進を命ずるのが相当とされた例。
4413 給与上の不利益の場合
昇進是正に伴う昇給実施にあたって、各人に「給与レンジ」を呈示し昇給額を通知すべきであるとされた例。
4413 給与上の不利益の場合
昇給差別の是正について、昇進差別是正に伴う職位の変動による昇格・職能手当の改訂を通知すべきであるとされた例。
4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
差別是正に伴うバックペイに年6分の利息の附加支払いを求める申立てが棄却された例。
5141 補正されない申立て・要件不備
昇進・昇給の差別是正として申立前1年以内の管理者職位などへの昇進等を求める申立てにつき、不当労働行為を構成する具体的事実の主張が欠如しているとの会社主張が斥けられた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集67集240頁 |
評釈等情報 |
 
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