概要情報
事件名 |
田渕製作所 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和53年(不)第98号
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申立人 |
全大阪金属産業労働組合 |
被申立人 |
株式会社 田渕製作所 |
命令年月日 |
昭和55年 2月12日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
分会掲示物、分会旗掲揚等を妨害したこと、分会員に対する郵便物の取扱いを差別したこと、分会の中心メンバーX1を理由不明確なまま長期間頻繁に他職場の応援を命じたこと、賃上げ等の団交において時間を制限するなど誠意ある団交を行わなかったことが争われた事件で、郵便物引渡しの差別扱いの禁止、団交における時間の一方的制限の禁止及び「同時回答」の合意の遵守、文書手交を命じ、分会掲示物・分会旗掲揚に関する申立てのうち申立日より1年以上前になされた部分並びに申立費用及び慰謝料の支払いについては申立てを却下し、管理職による組合員に対する暴力やいやがらせ等の将来にわたる禁止、組合員X1に対する言動、掲示板供与問題に関する解決金の不支給については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合の田渕製作所分会及び同分会員あての郵便物の引渡しに際して、他の従業員と異なった取扱いをしてはならない。 2 被申立人は、申立人との団体交渉において、交渉時間を一方的に1時間に制限してはならない。また、被申立人は、50年11月7日に申立人との間でなされた「同時回答」の合意を遵守しなければならない。 3 被申立人は、申立人に対して、速やかに下記の文書を手交しなければならない。 記 年 月 日 申立人代表者あて 被申立人代表者名 当社は、貴組合員X1氏に対し、理由も示さずに、頻繁かつ長期にサドル課への職場応援を命じましたが、この行為は、労働組合法第7条第1号・第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。 4 申立人の、分会掲示物及び分会旗掲揚に関する申立てのうち、昭和52年9月15日以前にかかる部分並びに、申立てに要した費用及び慰謝料の支払に関する申立ては、それぞれこれを却下する。 5 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会の中心メンバーX1に対する他課への職場応援命令が、特に同人の応援を必要とする理由がなく同人の組合活動を嫌悪して分会の弱体化を図った不当労働行為とされた例。
1602 精神・生活上の不利益
分会員に対する郵便物の取り扱いが、分会員のみを差別してなされた不利益取扱いとされた例。
2242 回答なし
賃上げ等に関する団交において、交渉時間を一方的に1時間と制限し、また、別組合との団交妥結後やっと応じるなどしたことが誠意ある団交とはいえないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
組合員X1に対する次長の言動は容認できるものではないが、既に同人が遺憾の意を表明して一応解決をみているので、ポスト・ノーティスの必要がないとされた例。
3020 組合活動への制約
組合掲示物に対する妨害につき、何者かによる妨害があったことは認められるが、会社によってなされたとの疎明はないとして、申立てが棄却された例。
3020 組合活動への制約
掲示板供与問題についての解決金を支給しなかったことにつき、最終的合意が成立しておらず、また、その後食堂内壁面を掲示板として支障なく使用しているところから不当労働行為とはいえないとされた例。
5001 将来における予防、不特定な内容の請求
管理職による組合員に対する暴力やいやがらせ等の将来にわたる禁止を求める申立てが既に一応解決をみているなどとして棄却された例。
5005 損害賠償の請求
申立てに要した費用及び慰謝料の支払いを求める申立てが、労委の権限外であるとして却下された例。
5201 継続する行為
組合掲示物に対する妨害のうち、申立てより1年以上前になされた部分について、継続する行為ではないとして申立てが却下された例。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集67集212頁 |
評釈等情報 |
 
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