労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  毎日放送 
事件番号  大阪地労委 昭和51年(不)第11号 
申立人  民放労連毎日放送労働組合 
申立人  日本民間放送労働組合連合会近畿地方連合会 
被申立人  株式会社 毎日放送 
命令年月日  昭和55年 1月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合員らを係長以上の役職に昇進させなかったり、同期・同学歴の非組合員の水準より昇進を遅らせたことが争われた事件で、組合員22名に対しそれぞれ昇進させたものとしての取扱い及びバックペイ(年5分相当額の加算)を命じ、一方、期間徒過の部分については申立てを却下し、組合脱退者の昇進遅延、陳謝文の掲示及び社内報への掲載については申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、次表記載の申立人組合員らを、昭和50年2月14日付けをもって、次表甲欄記載の職に昇進させたものとして取り扱い、同日以降得たであろう賃金相当額(既に支払ったものを除く)及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
 なお上記賃金相当額は、申立人組合員らを次表乙欄記載のとおり昇進させたものとして算出するものとする。

                 乙

 氏  名    甲  係長 課長 副部長 部長

 X1   部 長  / 昭38 昭43  昭47

 X2  副部長 昭42  45  48   /

 X3  副部長  42  45  48   /

 X4 副部長  42  45  48   /

 X5  副部長  42  45  48   /

 X6 副部長  42  45  48   /

 X7  副部長  44  46  49   /

 X8   副部長  44  46  49   /

 X9  副部長  43  44  50   /

 X10  副部長  43  44  48   /

 X11  副部長  42  44  47   /




                 乙

 氏  名    甲   係長 課長 副部長 部長

 X12  課 長  45  49  /   /

 X13  課 長  45  49  /   /

 X14  課 長  45  49  /   /

 X15  課 長  45  49  /   /

 X16  課 長  45  49  /   /

 X17 課 長  46  50  /   /

 X18   課 長  45  50  /   /

 X19  係 長  47  /  /   /

 X20  係 長  47  /  /   /

 X21   係 長  47  /  /   /

 X22  係 長  48  /  /   /


2 被申立人は、下記の申立人組合員らにつき、下記の各年に、当該部分記載の職に昇進させたものとして取り扱い、それ以降得たであろう賃金相当額(既に支払ったものを除く)及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
(1) 昭和51年
  課長  X19   X20   X21
(2) 昭和52年
  部長  X11
  副部長 X12   X13   X14
      X15   X16
(3) 昭和53年
  部長  X2   X3   X4
      X5   X6
  課長  X22
(4) 昭和54年
  部長  X7   X8   X9
3 申立人らの昭和50年2月13日以前に係る昇進についての申立ては、却下する。
4 申立人らのその他の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員らの昇進が同期・同学歴の非組合員より遅れていることにつき、それを正当なものとする事情や、組合員らの能力、資質、士気等が劣っているとの疎明もなく、また、会社における役職は待遇上の地位を示すに過ぎないものが多いことなどから考えると、組合員らの昇進の遅れはその待遇面での不利益取扱いといわざるを得ない。本件労使関係の推移からみても、これら昇進の遅れは組合員であることを理由とした差別であり、昇進人事により組合脱退者が出るよう仕向けられた不当労働行為といわざるを得ない。

5201 継続する行為
昇進・昇格等の行為はその都度独立して行われ、それ自体で完結する一回限りのものとみるのが相当であり、「継続する行為」とはいえず、申立日から1年以前にかかる昇進についての申立ては却下せざるを得ない。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
部長に昇進後、組合を脱退した者の昇進遅延にかかる申立てが棄却された例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
昇進差別の救済として、役職の各段階ごとに同期・同学歴の非組合員の半数以上が昇進した年に合わせて昇進したものとして取り扱うことにより、命令に基づく昇進時の賃金格付け及びバックペイを行うよう命じた例。

4415 賃金是正を命じた例
非組合員で同期・同学歴の者が1名しかいない場合における組合員の救済として、同人の昇進と合わせて昇進したものとして取り扱うよう命じた例。

4616 社内報等への掲載を認めた例
陳謝文の掲示・社内報への掲載についての申立てが棄却された例。

4823 上部団体
申立人組合の上部団体である地連の申立人適格が認められた例。

5200 除斥期間
なされるべき昇進が申立日の1年前以内においてもなお行われていない場合には、その限りにおいてなされるべき昇進の実現を命じられるとされた例。

業種・規模  放送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集67集183頁 
評釈等情報   

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