労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  日本航空 
事件番号  東京地労委 昭和49年(不)第116号 
東京地労委 昭和50年(不)第35号 
東京地労委 昭和51年(不)第32号 
東京地労委 昭和52年(不)第17号 
申立人  日本航空労働組合 
被申立人  日本航空 株式会社 
命令年月日  昭和55年 1月22日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  昭和42年現行賃金制度導入以来組合員に対して昇給、昇格を差別したことが争われた事件で、組合員 247名に対し昭和42年から51年までの職級号棒の是正及びバックペイ、組合員故による昇給・昇格についての組合員以外の者との差別禁止、文書交付及び社内報への掲載、履行状況の文書報告を命じた。なお、差別の有無の立証に関し8名ずつのチャンピオン方式が採られている。 
命令主文  1 被申立人日本航空株式会社は、申立人日本航空労働組合に所属する別表1(省略)記載の組合員について、昭和42年から同51年までの各4月1日に遡って、つぎのとおり措置しなければならない。
(1) 職員I・男子・高卒・大卒・定期採用者について
 つぎのそれぞれの〔表1〕(省略)、〔表2〕(省略)の是正基準テーブルで示す各年度の職級号棒(基準位)と当年度における卒年を同じくする申立対象者のグループ内での中位号棒(組合中位)との間に存する格差の号棒(是正分)を各人の実職級号棒(別表1)(省略)に加えて格差の是正をはかること。ただし、その上限は別表II(省略)の職級号棒とする。
(2) 職員I・男子・短大卒・定期採用者について
 つぎの〔表1〕(省略)の是正基準テーブルで示す各年度の職級号棒と〔表2〕(省略)の是正基準テーブルで示すそれとの中間の号棒を各年度の基準位とし、(1)同様の是正をはかること。
(3) 職員I・男子・中卒・定期採用者について
 各人の卒年から3年後の高卒者についてつぎの〔表1〕(省略)の是正基準テーブルで示す各年度の基準位により、(1)同様の是正をはかること。
(4) 職員I・女子・定期採用者について
 つぎの〔表3〕の是正基準テーブルで示す各年度の基準位により、(1)同様の是正をはかること。
(5) 職員I・各中途採用者について
 以上の(1)ないし(4)に属する中途採用者については、各年度においてそれぞれの定期採用者の是正された職級号棒につき中途採用者に適用される所要の修正をしてその是正すべき職級号棒を定めること。
(6) 職員I・年齢調整制度適用者について
 以上(1)ないし(5)に属する申立対象者のうち年齢調整制度が適用される者については、以上で是正された職級号棒につき、さらにそれぞれ年齢調整制度に適用される所定の号棒を加えてその是正すべき職級号棒を定めること。
(7) 職員IIについて
 職員IIに該当する組合員については、職種別に、性別、年齢、勤続年数を同じくする申立人組合以外の者の中位値を基準として毎年度の平均賃金額を定め格差是正をはかること。
2 被申立人会社は、前項の各対象組合員に対し、右是正にともない支給されるはずの賃金相当分(基本賃金および加給のほか、これによって決定される基準外賃金ならびに特別職務手当、能力資格手当、期末手当などを含む。)と現実に支給された賃金との差額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、今後申立人組合員に対して、申立人組合の組合員であることの故をもって、昇給および昇格について申立人組合員以外の者との間に差別をしてはならない。
4 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に下記文書を申立人組合に交付するとともに、右受領の日以降に発行する直近の会社社内報「おおぞら」に1回右文書と同文の内容を掲載しなければならない。
              記
               昭和  年  月  日
日本航空労働組合
 中央執行委員長 X1 殿
           日本航空株式会社
            代表取締役社長 Y1
 貴組合所属の組合員各位につき、昭和42年以来昇給昇格などにおいて不当な差別をしたことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後かかることをくり返さないよう留意いたします。
(注.年月日は、交付あるいは掲載した日を記載すること。)
5 被申立人会社は、前記第1、第2および第4項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  5201 継続する行為
昭和42年現行賃金制度導入以来の昇給昇格の組合間差別にかかる救済申立ては毎年なされており、しかも昭和48年度以降の組合間差別事件はそれまでの申立事件の救済内容を同一性の範囲内で修正したに過ぎず、また、毎年の昇給昇格が過去2年ないし3年の人事考課を考慮してなされるといった関連性を有しているなどの本件の特色を考えれば、昭和42年以降になされた昇給昇格の決定行為につき労委は当然これを審査しうる。

1200 降格・不昇格
1201 支払い遅延・給付差別
各人の業績に起因するものを除いたその余の昇給昇格格差が不当労働行為とされた例。

4413 給与上の不利益の場合
4415 賃金是正を命じた例
昭和42年以降の昇給昇格の組合間差別の救済として、同年に遡及して、同期中位者の昇給昇格実態にそって若干それを下回る是正基準テーブルを設け、それによる是正を命じた例。

5121 挙証・採証
活発な組合活動を行っていた者が低い査定を受けていたであろうことが推認されることからみて、昇給昇格格差につき、会社側反証によって覆えされない限り、組合員になるが故の不当評価と推認せざるを得ないとされた例。

業種・規模  航空運輸業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集67集96頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和55年3月30日 1042号(31巻9号) 15頁 

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約3026KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。