概要情報
事件名 |
思川砂利 |
事件番号 |
茨城地労委 昭和53年(不)第3号
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申立人 |
全日本自由労働組合 |
申立人 |
X1ほか19名 |
被申立人 |
思川砂利 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年 1月10日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
砕石運搬業務に携わっているダンプカー持込み運転手に対して代車取引を停止したこと、申立人組合支部との団交に応じなかったことが争われた事件で、申立人20名の代車契約解除(実質的解雇)の撤回、バックペイ(稼動停止から撤回までの運賃相当額からその40%を必要経費として控除した残額の60%の支払い)、申立人組合との誠意ある団交応諾、ポスト・ノーティス及び文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7、同X8及び同X9に対する昭和53年5月5日付代車契約解除(実質的解雇)を撤回し、また、申立人X10、同X11、同X12、同X13、同X14、同X15、同X16、同X17、同X18、同X19及び同X20に対しては、同年5月23日の交渉における言動による代車契約解除(実質的解雇)を撤回し、それぞれ同人らを同年5月5日以前の状態で稼動させなければならない。 2 被申立人会社は、申立人X1ら20名に対し、同人らが稼動停止となった日から稼動停止を撤回された日までに受けるはずであった運賃相当額からその40パーセントを必要経費として控除した残額の60パーセントを支払わなければならない。 3 被申立人会社は、申立人全日本自由労働組合が申し入れる昭和53年4月3日付要求書についての団体交渉に、速やかに、かつ、誠意をもって応じなければならない。 4 被申立人会社は、本命令書受領の日から5日以内に縦90センチメートル、横 150センチメートルの白色木版に下記の文言を明瞭に墨書し、被申立人会社茨城砕石工場の玄関の見易い場所に10日間掲示し、かつ、上記期間内に同一内容の文書を作成押印の上、申立人全日本自由労働組合に手交しなければならない。 記 誓 約 書 会社の行った下記の行為は、不当労働行為であると茨城県地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を一切いたしません。 記 1 昭和53年5月5日及び同月23日組合員X1外19名に対しそれぞれ代車契約解除(実質的解雇)したこと。 2 昭和53年4月3日付要求書についての団体交渉を正当な理由もなく拒否したこと。 昭和 年 月 日 全日本自由労働組合 中央執行委員長 X21 殿 組合員 X1 外19名 殿 思川砂利株式会社 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
4407 バックペイの支払い方法
申立人らの報酬は出来高制で特定、固定していないなど実収入の個人差は極めて大であること、さらに組合への団結権の侵害、組合員個人への権利侵害がいずれも大である反面、取引停止中に他社稼動の事実があることなどの事情を勘案し、その救済としてのバックペイについては、取引停止前過去6カ月の総収入平均から必要経費として40%を控除した残額の60%の支払いを命ずるのが妥当である。
4825 その他
ダンプカー持込み運転手との取引条件については、会社が一方的に決定するなど契約締結過程において対等性はなく、また、労務遂行過程においても運転手が砕石運搬を希望した場合、会社の指示通りに指定場所に特定量を運搬する義務が生じ、会社の砕石の運搬などについては、会社の明確な指揮命令下になされているといわざるを得ない。さらに対等性の欠如は、取引条件のうちの運賃が一方的に決定されるのみならず、極めて不利な支払条件が一方的に決定されることからも推測できる。以上のことから考え、使用従属関係が若干薄いとはいえ、申立人Oらは労組法上の「労働者」と認めるのが妥当といえる。
1106 契約更新拒否
ダンプカー持込運転手が「労働者」である以上、同人らとの代車契約解除は実質的解雇であり不当労働行為に該当するとされた例。
1106 契約更新拒否
ピケに参加したダンプカー持込運転手12名との第2次契約解除(実質的解雇)が不当労働行為とされた例。
2300 賃金・労働時間
ダンプカー持込み運転手の労働条件に関する団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集67集51頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1980年3月25日 996号 頁 
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