概要情報
事件名 |
日立工営 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和53年(不)第37号
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申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方本部 |
被申立人 |
日立工営 株式会社 |
命令年月日 |
昭和54年12月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が申立外T社を企業閉鎖し、T社の分会員全員を解雇したこと、T社の業務再開に関する団交申入れを使用者でないことを理由に拒否したことが争われた事件で、解雇がなかったものとしての取扱い、バックペイ(年5分相当額の加算)、業務再開についての団交拒否の禁止、業務再開したときの原職復帰及びポスト・ノーティスを命じ、T社の事業再開、賃金の追加請求等についての申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人日立工営株式会社は、X1、X2、X3、X4、X5に対して、昭和53年1月20日付け解雇がなかったものとして取り扱い、昭和53年4月分以降同人らが受けるはずであった賃金相当額及びこれに年5分相当額を加算して支払わなければならない。
2 被申立人日立工営株式会社は、昭和53年4月4日付け協定書に基づく業務再開について、上記X1外4名の使用者でないとの理由で申立人との団体交渉を拒否してはならない。
3 被申立人日立工営株式会社は、上記協定に基づく業務を再開したときは、上記5名を企業の閉鎖前の原職又は原職相当職に速やかに復帰させなければならない。
4 被申立人日立工営株式会社は、本命令交付の日から1週間以内に縦1メートル以上横1メートル以上の紙に下記のとおり明記し、被申立人会社の従業員の見やすい場所に毀損することなく1週間掲示しなければならない。
誓 約 書
当社は、下記行為を行いましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると神奈川県地方労働委員会から認定されました。 今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
記
(1) 昭和53年1月20日付けで貴組合員を解雇したこと。
(2) 貴組合から申し入れのあった天成食品株式会社の業務再開についての団体交渉に応じなかったこと。
昭和 年 月 日
総評全国一般労働組合神奈川地方本部
執行委員長 X6 殿
日立工営株式会社
代表取締役 Y1
5 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が実質的に管理支配するT社の企業閉鎖は、企業を閉鎖しなければならない程業績が悪化していたとは認め難く、組合の結成直後における組合活動に対して、組合脱退を勧奨し、分会員を配転させ、分会員全員の解雇を申し渡した事実からみて、会社がT社の経営悪化を口実として分会の壊滅を企図してなされた不当労働行為である。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
5008 その他
会社がT社を企業閉鎖し分会員全員を解雇したことが不当労働行為としても、既に事業場やその設備がなく、現段階において経営者は事業再開の意思がないところから、T社の事業再開と分会員の原職復帰を命ずることは妥当でない。
4915 親会社
会社と申立外T社は別法人であり、T社に雇用されていた分会員は会社とは直接の使用従属関係はないが、会社はT社の経営上の決定権を掌握し、分会員の労働条件に対し現実的かつ具体的な影響力ないし支配力を有し、T社への株式譲渡も便宜的・名目的なもので、実質的な管理支配の状況は株式譲渡後も変らず、会社は分会員に対し使用者に該る。
2130 雇用主でないことを理由
会社が組合から申入れのあったT社の業務再開についての団交を使用者でないことを理由に拒否したことが不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
専門サービス業(法律事務所、経営コンサルタント業等) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集66集727頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1980年3月15日 334号 74頁 
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