労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  泉設計事務所 
事件番号  大阪地労委 昭和51年(不)第102号 
大阪地労委 昭和51年(不)第118号 
大阪地労委 昭和51年(不)第122号 
大阪地労委 昭和51年(不)第136号 
申立人  全日本港湾労働組合関西地方本部 
被申立人  有限会社 構建設計 
被申立人  破産者 株式会社 泉設計事務所 破産管財人 Y2 
被申立人  破産者 株式会社 泉設計事務所 Y1 他1名 
命令年月日  昭和54年12月17日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  赤字経営を理由に会社を解散し全従業員を解雇の上自己破産の申立てを行ったこと、会社解散後、組合からの解雇撤回、企業再開、一時金、賃上げ等に関する団交申入れに応じなかったことが争われた事件で、解雇がなかったものとしての取扱い、債権者集会において営業廃止を決議したときまでのバックペイ(年5分の割合による金員を含む)、賃金及び一時金に関する団交応諾及び文書手交を命じ、元会社役員Y1及び元会社職員の設立したK社は被申立人適格がないとしてこれらに対する申立てを却下、企業再開についての申立ては棄却した。 
命令主文  1. 被申立人Y3及び同破産者株式会社泉設計事務所破産管財人Y2は、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9及びX10に対して、昭和51年9月14日付け解雇がなされなかったものとして取り扱い、同年8月分以降債券者集会において営業廃止を決議したときまで、同人らが受けるはずであった賃金相当額及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
2. 被申立人Y3及び同破産者株式会社泉設計事務所破産管財人Y2は、昭和51年度冬季一時金、昭和52年度及び昭和53年度の各賃上げ・一時金並びに昭和54年度の賃上げ及び夏季一時金について、申立人組合と速やかに団体交渉を行わなければならない。
3. 被申立人破産者株式会社泉設計事務所及び同Y3は、申立人に対して下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年  月  日
申立人代表者あて
泉分会代表者あて
破産者株式会社泉設計事務所代表者名
Y3             
 当社及びY3は、貴組合及び貴組合員に対して下記の行為を行いましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、陳謝いたします。
              記
(1) 昭和51年9月21日以降一切の団体交渉を拒否していること
(2) 昭和51年9月14日付けで貴組合員全員を解雇し、かつ、同年8月分以降の賃金を支給しないこと
(3) 昭和51年9月24日に会社を解散したこと
(4) 昭和51年10月18日に会社の廃業届を大阪府に提出したこと
(5) 昭和51年10月29日に自己破産の申立てを行ったこと
4. 申立人の、被申立人Y1及び有限会社構建設計に対する申立ては、却下する。
5. 申立人のその他の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
4407 バックペイの支払い方法
4408 バックペイが認められなかった例
会社が破産宣告を受ければ債権者集会において営業廃止の決議がなされるのが通例であるので、未払賃金は同決議のときまでの賃金相当額及びこれに年率5分を乗じた額の支払いを命ずるのが妥当である。

1800 会社解散・事業閉鎖
3105 事業廃止、工場移転・売却
会社解散、全員解雇、自己破産申立てが組合を嫌悪し組合員を排除する意図でなされた不当労働行為とされた例。

2300 賃金・労働時間
2400 その他
破産後も賃金・一時金の団交による解決が可能であり、これらの問題に関する団交拒否が不当労働行為とされた例。

4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
5008 その他
被申立人である元社長が会社解散後別企業の一従業員であり会社再開の意欲を失っているので会社再開を命じ得ないとされた例。

4912 破産事業における使用者
4916 企業に影響力を持つ者
破産会社の元代表取締役個人が会社設立の中心者で、事実上、会社経営の実権を掌握し、主たる株主であることから、会社と一体のものとして同人は被申立人適格を有するとされた例。

4912 破産事業における使用者
4916 企業に影響力を持つ者
会社経営に参画してきたが、その後、会社役員を辞任しているY1については被申立人適格がないとされた例。

4916 企業に影響力を持つ者
会社分室に勤務していた者が退職後、新会社K社を設立し会社の仕事をしたとしても両社が同一のものとまで言えず、K社には被申立人適格がないとされた例。

業種・規模  専門サービス業(法律事務所、経営コンサルタント業等) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集66集638頁 
評釈等情報   

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