事件名 |
東芝アンペックス |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和54年(不)第4号
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申立人 |
東芝アンペックス労働組合 |
被申立人 |
東芝アンペックス 株式会社 |
命令年月日 |
昭和54年12月 1日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
代議員議長団選挙の際、特定候補者への投票依頼を拒否した組合員X1を係長に昇進させなかったこと、職場配置の変更を年末一時金の支給条件として、これに固執したこと、組合脱退者及び非組合員にのみ年末一時金を支給するなどして組合脱退を慫慂したこと、組合脱退者らに会社施設を貸与したことが争われた事件で、支配介入の禁止、組合員X1に対する差別扱いの禁止、X1の係長昇進及びバックペイ(年5分相当額加算)、組合脱退勧奨の禁止及びポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1. 被申立人会社は、申立人組合の代議員、代議員会議長団および役員の各選挙について、特定候補者に投票するよう組合員に働きかけるなどして、組合の運営に支配介入してはならない。 2. 被申立人会社は、申立人組合員X1に対して、組合代議員会議長団選挙に際して特定候補者への投票依頼を拒否したこと、およびその事実を組合に報告したことを理由として、今後差別してはならない。 3. 被申立人会社は、申立人組合員X1に対して、昭和53年8月1日にさかのぼって機械課係長に昇進させるとともに、係長として受くべき賃金と、すでに支払われた賃金との差額相当額に、年5分相当額の金員を加算して、同人に支払わなければならない。 4. 被申立人会社は、申立人組合の組合員に対して、申立人組合からの脱退を条件として年末一時金を支払うなどして、申立人組合からの脱退慫慂してはならない。 5. 被申立人会社は、本命令交付後5日以内に、縦 1.5メートル、横3メートルの白色木板に下記文書を楷書で墨書し、被申立人本社の正面入口の見やすい場所に毀損することなく2週間掲示しなければならない。
陳 謝 文 当社が、昭和53年7月に行われた貴組合の代議員会議長団選挙に際し、貴組合の代議員であるX1氏に対して、特定候補の投票依頼をしたこと、またその投票依頼を拒否しそのことを貴組合に報告したことを理由として、昭和53年8月1日の定期異動において係長に昇進させなかったこと、昭和53年12月の年末一時金の妥結を差違え条件に固執してひきのばしたこと、年末一時金の支払いを条件に組合員に組合脱退を慫慂したこと、組合脱退者にのみ年末一時金の支払いをなしたこと、および組合脱退者らに東芝トレーニングセンターの一室を貸与したことは、いずれも貴組合の分裂弱体化を企図したものであり、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると、神奈川県地方労働委員会により認定されました。 よって、当社はかかる行為におよんだことについて貴組合に対し、深く陳謝するとともに、今後一切このような不当労働行為をしないことを誓約いたします。
昭和 年 月 日
東芝アンペックス労働組合 執行委員長 X2 殿
東芝アンペックス株式会社
代表取締役 Y1
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判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
2624 組合人事への干渉
3106 その他の行為
申立組合員の代議員X1を係長に昇進させなかったことが、組合代議員議長団選挙に際して、会社職制による特定候補者への投票依頼を拒否し、そのことを組合に通知したことに対する報復措置とみられ、不利益取扱いおよび支配介入とされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
2621 個別的示唆・説得・非難等
3102 争議対抗手段
3700 使用者の認識・嫌悪
会社が、職場配置の変更を認めることを年末一時金の支給条件として固執して年末一時金の支給を遅らせ、年末一時金の早期支給を条件に組合脱退を慫慂したことが、組合の分裂弱体化を企図した不当労働行為とされた例。
2500 別組合の結成・援助
2900 非組合員の優遇
会社が、組合脱退者らに会社施設利用の便宜をはかったことが、組合組織が動揺している時期になされていること等から、新しい組合結成の準備を援助したものとして、支配介入であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
営業本部課長代理が、組合代議員議長団選挙において、もと部下であった組合員に対して特定候補者への投票依頼をしたことが支配介入とされた例。
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業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集66集591頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1980年 4月25日 998号 80頁
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