労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  宮崎神経科嵯峨病院 
事件番号  京都地労委 昭和52年(不)第13号 
申立人  京都民間医療労働組合連合会 
申立人  X1 他2名 
被申立人  宮崎神経科嵯峨病院こと宮崎 淳臣 
命令年月日  昭和54年11月29日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  病院が、組合の前段階として互助会を結成した看護助手3名を、患者に対する暴行、雇用期間満了、無断欠勤等を理由に解雇または雇止めにしたこと、同問題についての団交を拒否したこと、互助会を解散させるための一連の言動を行ったことが争われた事件で、2名に対する解雇取消し、原職復帰、バックペイ及び他の1名に対しては契約期間満了時までの解雇取消し、バックペイ、並びにポスト・ノーティスを命じ、団交拒否の救済としては、団交要求事項が本件救済命令により実現されることから、申立てを棄却した。 
命令主文  1.(1) 被申立人は、X1に対する昭和52年 6月24日付解雇及びX2に対する同月30日付解雇を取り消し、それぞれ原職に復帰させるとともに、解雇の日から原職復帰までの間同人らが受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。
 (2) 被申立人は、X3に対する昭和52年 6月25日付解雇を取り消し、解雇の日から昭和53年 3月末日までの間同人が受けるべきはずの諸給与相当額支払わなければならない。
2. 被申立人は、下記内容の文章を縦1メートル、横 1.5メートルの模造紙に墨書し、病院内の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
 宮崎神経科嵯峨病院病院長Y1は、さが互助会の結成に対し、同会の解散を強要したり、X1、X3、X2を解雇したり、同人らの解雇撤回等を求める団体交渉の申入れを拒否したことはすべて不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
  以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約します。
年  月  日
 京都民間医療労働組合連合会
  議長  X4  殿
      X1  殿
      X3  殿
      X2  殿
宮崎神経科嵯峨病院
病院長 Y1 
3. 申立人のその余の請求を棄却する。 
判定の要旨  0110 結成行為の範囲とされた例
3700 使用者の認識・嫌悪
X1ら3名が主観的にせよ労働組合結成の前段組織として従業員間の親睦を図り、組合運動を行うための仲間作りを行うことを目的に互助会を結成したのであるから、病院が同会を労働組合もしくは労働組合に発展する可能性のある組織として認識し、これを嫌悪し抑圧的行動をとった以上、労組法7条1号にあたる不当労働行為であることは明らかである。

4405 バックペイから他収入控除
不当労働行為たる解雇に対する救済内容は、総体としての使用者の団結侵害行為をその対象としなければならず、いわゆるバックペイも、必ずしも解雇によって蒙った被解雇者の個人的な経済的損失を補償するためにのみあるものでなく、団結権侵害の回復是正という救済目的をよりよく実効あらしめる一つの手段としての意味をもつものである。それ故に、バックペイを認めるか否か、その額、範囲をいかにするかは、不当労働行為制度の救済目的に照らして、使用者の団結権侵害行為からの保護にとって、十分に効果的な手助けとなりうるかどうかによって判断すべきものであって、この理は中間収入の控除の是非を判断するについても妥当する。

4405 バックペイから他収入控除
病院の3名に対する解雇は、同人らへの加害として、同人らの個人的経済的利益を喪失させ、これを補うために従前とは異なる内容や態様の労働で収入の途を開かざるを得ず、他方、病院の他の労働者らの組合結成ないしは組合活動への参加に対して重大な抑圧的効果を与えたものと認められるのであり、バックペイに関しては、3名の中間収入を控除することは相当でなく、解雇されなかったならば同人らが受けたであろう諸給与相当額の支払いを命ずべきものと考える。

0110 結成行為の範囲とされた例
0600 暴力行為
3601 処分の程度
組合結成の準備のための親睦会を結成した申立人X1の患者に対する暴力行為を理由とする懲戒解雇が一度不問にしながら、再度蒸し返して解雇していること等から不当労働行為とされた例。

0110 結成行為の範囲とされた例
0700 職場規律違反
組合結成の準備のための親睦会を結成した申立人X2を無断欠勤等を理由に懲戒解雇したことが不当労働行為とされた例。

0110 結成行為の範囲とされた例
0500 勤務成績不良
1106 契約更新拒否
組合結成の準備のための親睦会を組織した申立人X3を雇用期間満了・勤務態度不良を理由に雇止めしたことが不当労働行為とされた例。

2113 交渉団体として不適格
2241 他の係争事件の存在
2301 人事事項
労組法5条の組合資格の有無や団交事項である解雇問題が不当労働行為審査事件として労働委員会に係属中であることを理由に団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。

0110 結成行為の範囲とされた例
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
病院の院長及びその意をうけた管理職が労働組合結成の前段組織としての互助会を解散させるために行った一連の言動が支配介入とされた例。

4403 解雇後の事情と原職復帰
4409 有期・臨時雇用者の救済
解雇された組合員のうち申立人X3は雇用形態が大学卒業までとなっており、大学を卒業している以上同人については原職復帰を命ずる必要がないものとされた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集66集560頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約643KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。