概要情報
事件名 |
電業社機械製作所 |
事件番号 |
静岡地労委 昭和53年(不)第7号
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申立人 |
総評・全国金属労働組合電業社支部 |
被申立人 |
株式会社 電業社機械製作所 |
命令年月日 |
昭和54年10月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
定年退職後の取扱いについて、別組合員については全員特別嘱託として再雇用したのに対し、申立組合員3名の再雇用を拒否したことが差別扱いであるとして争われた事件で、3名の特別嘱託たる従業員としての取扱いとバックペイ、定年退職後の再雇用についての不利益扱いの禁止及びポスト・ノーティスを命じ、一般嘱託としての雇用についての支配介入の禁止を求める申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、X1、X2及びX3を、次の措置を含め、定年退職時から引続き3年間、特別嘱託たる従業員の地位にあるものとして扱わなければならない。 (1) 被申立人は、上記の3名を、特別嘱託として就くはずの職に復帰させなければならない。 (2) 被申立人は、上記の3名に対し、定年退職日以降、特別嘱託として受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 2. 被申立人は、今後、申立人所属の組合員を、申立人所属の組合員であることの故をもって、定年退職後の再雇用につき、不利益に扱ってはならない。 3. 被申立人は、本命令書受領後1週間以内に、縦80センチメートル、横1メートルの白板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人の三島工場正門の従業員の見易い場所に、2週間掲示しなければならない。 なお、年月日は掲示した初日を記載しなければならない。
記
当社が、貴組合の組合員を、特別嘱託としての雇用に関し差別して不利益に扱ったことは、不当労働行為であると静岡県地方労働委員会によって認定されました。 今後は、このような行為を繰返さないことを誓約します。 この掲示は、同地方労働委員会の命令によって行うものであります。
昭和 年 月 日
総評・全国金属労働組合電業社支部
執行委員長 X4 殿
株式会社 電業社機械製作所
取締役社長 Y1
4. 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
4407 バックペイの支払い方法
定年後の再雇用を拒否された3名はその後いわゆる中間収入を得ているものの、その職務内容、賃金額及び再就職するまで1年ないし2年を経ていること等からみて、経済的、心理的な打撃を蒙っていることや、再雇用されるために組合を脱退する者が出ている事情と、再雇用をめぐるその他の事情等から判断される本件不利益扱いの組合活動一般に対する侵害の程度を併せ考えれば、中間収入を控除しては、この侵害を十分に除去することができないものといわざるを得ず、賃金相当額金額の支払いを命ずることが相当であると判断せざるを得ない。
1106 契約更新拒否
1500 不採用
申立組合員3名を別組合員と差別して定年退職後に再雇用しなかったことが不当労働行為とされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
定年後の再雇用を拒否された申立組合員3名は、組合規約上、組合員資格を失っているものの、組合脱退者の場合と自ら事情を異にすると共に未だ、救済を求める意思を持っている以上、組合は同人らに対する不利益の回復につき、被救済利益を有するとされた例。
4838 申立ての承継
定年後再雇用されなかった組合員3名は、組合規約上、組合員資格を失っているとはいえ、申立人組合は、これらの者に対する不利益の回復を求める独自の申立権を有するものとされた例。
5200 除斥期間
組合員3名の定年後の再雇用拒否についての救済申立ては、労組法27条2項の除斥期間の定めに抵触するとの会社の主張が、救済方法の一部変更補充の書面を救済申立てと誤解しているものとして斥けられた例。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集66集460頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1980年 2月 1日 331号 72頁 
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