労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本商運社 
事件番号  大阪地労委 昭和52年(不)第97号 
大阪地労委 昭和53年(不)第92号 
申立人  総評全日本運輸一般労働組合西大阪支部 
被申立人  株式会社 日本商運社 
被申立人  Y1 
命令年月日  昭和54年10月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  収益悪化、会社再建に分会が非協力であったこと等を理由に、事業閉鎖、全員解雇をしたことが争われた事件で、解雇がなかったものとしての取扱い、バックペイ(年5分の割合による金員加算)及びポスト・ノーティスを命じ、事業再開、原職復帰については申立てを棄却した。 
命令主文  1. 被申立人らは、申立人組合日本商運社分会員に対し、昭和52年10月10日付け解雇がなかったものとして取り扱い、同年10月分以降同人らが受けるはずであった賃金相当額(ただし、既に支払った金額を除き、その未払金に対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。
2. 被申立人らは、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、速やかに株式会社日本商運社の本社玄関付近の従業員の見やすい場所に、1週間掲示しなければならない。
年  月  日
 申立人代表者あて
株式会社 日 本 商 運 社
代表者名 Y1     
 株式会社日本商運社及びY1は、昭和52年10月8日、事業閉鎖を行いまた同月10日、貴組合日本商運社分会員を解雇しましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝いたします。
 以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。
3. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1800 会社解散・事業閉鎖
企業主はその組織した企業を廃止するいわゆる「営業の自由」を有する旨会社は主張するが、企業廃止の自由も一定の制限を受けることは言うまでもなく、分会員らを経営外に追放し、分会を破壊する目的で、解雇・事業閉鎖を行うことは許されない。

4910 事業廃止に伴う新経営者
4916 企業に影響力を持つ者
会社は代表取締役Y1個人を中心とする典型的な同族会社であり、株主総会・取締役会が開催されていないのみならず株式の約90%をY1及びその親族が所有していること、また、会社経営の実権は同人が掌握し、同社がその意のままに運営されていることが認められること等を総合すれば、会社とY1は実質的同一性を有し、両者は不可分のものとして、分会員らの労使関係上の諸利益に直接的影響力・支配力を及ぼす地位にあると考えられ、Y1は、被申立人適格を有するものと判断せざるを得ない。

1700 偽装解散
1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
業績悪化等を理由とする分会員の解雇、事業閉鎖が、別会社を秘密裡に設立し、分会員を除く会社関係者によって事業の継続を図ろうとしていたこと等から不当労働行為とされた例。

4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
事業再開を被申立人らが容易になしうると判断するに足りる疎明がないとして、事業再開・原職復帰を求める救済申立てが棄却された例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集66集452頁 
評釈等情報   

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