労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  住友重機械工業 
事件番号  神奈川地労委 昭和52年(不)第24号 
申立人  全日本造船機械労働組合浦賀分会 
申立人  X1ほか19名 
被申立人  住友重機械工業 株式会社 
命令年月日  昭和54年 8月 9日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  46年12月以降、他の従業員に比較して申立人分会20名の昇格を遅らせた事件で、同20名を47年 1月ないし51年 4月に遡及してそれぞれ指定する職階に昇格させたものとしての取扱い及び申立人X2ら11名に対する昇格時期前3ヵ年の定昇考課の平均以上の再査定、これらに基づく年5分相当額を加算したバックペイ、昇格、昇給の差別的取扱い及び支配介入の禁止、ポスト・ノーティスを命じ、申立人3名の48年 2月前の申立てにかかる部分については棄却した。 
命令主文  1. 被申立人会社は、申立人X1ほか19名に対し、それぞれ別表記載の年月日に遡って各職階に昇格させたものとして取り扱わなければならない。
2. 被申立人会社は、下記の申立人X2ほか10名に対し、前項の昇格時期前3ヵ年(昭和46年12月25日を限度とする。)の定昇考課が平均以上になるよう再査定しなければならない。
申立人番号 4  X2
申立人番号 5  X3
申立人番号 8  X4
申立人番号 9  X5
申立人番号11  X6
申立人番号13  X7
申立人番号14  X8
 以上 4職階として再査定
申立人番号17  X9
申立人番号19  X10
申立人番号20  X12
申立人番号21  X13
 以上 3職階として再査定
3. 被申立人会社は、前2項により申立人が昇格していたならば支給すべきであった諸給与相当額並びに再査定に伴い生ずる諸給与相当額と現実に支給した額との差額にそれぞれ年5分相当額を加算して支払わなければならない。
4. 被申立人会社は、申立人組合の組合員であることを理由に、今後申立人を仕事、考課、査定、格付、賞与・一時金、退職金などで差別し、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
5. 被申立人会社は、下記文書を縦1メートル以上、横2メートル以上の白色木板に明瞭に墨書し、被申立人会社の本社・浦賀造船所・川間製造所・追浜造船所の各正面入口の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。

 当社が、貴組合の存在を嫌悪し、昭和46年12月以降今日に至るまで貴組合の昇格を遅らせるという差別を行い、賃金、賞与・一時金の支払いについて不利益な取扱いを行ったことは、今般神奈川県地方労働委員会から労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為である旨認定されました。
 よってここに深く陳謝するとともに、今後かかる不当労働行為をしないことを誓います。
昭和  年  月  日
 全日本造船機械労働組合浦賀分会
 執行委員長  X13 殿
住友重機械工業株式会社
代表取締役  Y1
6. 申立人らのその余の申立てを棄却する。
      別 表

 申立人No 氏  名   昇格すべき年月日 是正職級

   1  X1     昭和48年 2月 1日  5職階

   3  X14    昭和48年 2月 1日  5階層

   4  X2     昭和49年 4月 1日  5階層

   5  X3     昭和49年 4月 1日  5階層

   6  X15    昭和48年 2月 1日  5階層

   8  X4     昭和49年 4月 1日  5階層

   9  X5     昭和51年 4月 1日  5階層

  10  X16    昭和51年 4月 1日  4階層

  11  X6     昭和49年 4月 1日  5階層

  12  X17    昭和48年 2月 1日  4階層

  13  X7     昭和51年 4月 1日  5階層

  14  X8     昭和51年 4月 1日  5階層

  16  X18    昭和47年 1月 4日  4階層

  17  X9     昭和51年 4月 1日  4階層

  18  X19    昭和47年 1月 4日  4階層

  19  X10    昭和48年 2月 1日  4階層

  20  X16    昭和48年 2月 1日  4階層

  21  X12    昭和51年 4月 1日  4階層

  22  X20    昭和50年 4月 1日  4階層

  23  X21    昭和49年 4月 1日  3階層 
判定の要旨  5201 継続する行為
会社には分会に対する不当労働行為意思とそれにもとづく一連の行動が認められると同時に、昇格差別も連年行なわれかつ、その程度が強度であって、しかも、昇格査定にあたっては、過去一カ年間の業務遂行度を対象とするのみならず、過去3カ年の昇格査定が考慮されさらに過去3カ年以上の定昇の考課点が考慮されているのであるから、各年度の昇格査定とその決定行為は、それぞれ少なくとも過去3カ年のそれらの行為と時間的内容的に連続して不可分のものと認められることからみて、本件46年12月の調整措置から52年4月の昇格決定までの申立人らに対する昇格差別行為は組合の弱体化を意図してなされた一体不可分の不当労働行為に該当し、いわゆる「継続する行為」にあたる。

1200 降格・不昇格
2900 非組合員の優遇
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立人分会員20名を他の従業員に比し昇格を遅らせたことが不当労働行為とされた例。

4415 賃金是正を命じた例
昇格差別の救済にあたり、職級、昇格時期を決定するとともに昇格時期前の3年間の昇給考課点を昇格の要件である平均点以上になるよう是正を命ずることが相当であるとした例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集66集123頁 
評釈等情報   

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